「翻訳ものは読みづらい」を払拭した衝撃の一冊
翻訳物は読みづらいと思っていた以前の私にとって、2004年に刊行された越前敏弥さん訳の『ダ・ヴィンチ・コード』の読みやすさは衝撃的でした。
英語くさい英語も、「日本語ならどう言うか」を練りに練って考えられていて、「翻訳書特有の違和感」が全くない翻訳。ぐいぐい引き込まれてあっという間に読み終わった本です。
最後のどんでん返しのシーンでは電車の中で「えーーっ」と声を出して驚いてしまい(帰りの通勤電車の中で読んでいました)、同じ車両に乗っていた周りの人にチラ見されたことを覚えています。
その後、こういう翻訳ができる人ってどんな人なんだろう、と興味を持ったのがきっかけで、
・『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文』
・『越前敏弥の日本人なら必ず悪訳する英文』
・『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 リベンジ編』
を立て続けに読みました。翻訳に従事されている人ならもちろん、そうでない人でも英語に興味のある人ならとても面白いのでお勧めです!
越前さんはTwitterの中で
"よく「翻訳を勉強中ですが、日本語を鍛えるにはどうしたらいいですか」と訊かれるけど、翻訳を勉強中だったら、翻訳をすること自体が最高の訓練です。名文や名訳を読むのもいいけど、それは受け身。徹底的に調べて、原文の制約のなかで最大限に力のある日本語を書く以上の訓練はない。"
"翻訳は、翻訳をすることによってしかできるようにならない"
とおっしゃっています。
「原文の制約のなかで最大限に力のある日本語を書く以上の訓練はない」という言葉にすべてが集約されていると思いますが、
「日本語の表現力の向上」と「英語の理解力の向上」を両立するには、やはり「翻訳をやり続けるしかない」、ということに尽きます。
日々頂けるお仕事の中で、私自身も、一歩でも前へ歩みを進められているといいなと思いつつ、自分の好きなものを読んだり書いたり訳したり、を続けて「うまい翻訳」ができる翻訳者に近づいて行きたいと思います。
前から越前さんの『翻訳百景』を読みたいと思っていたことを思い出したので早速Amazonでポチりました。感想はまた後日...。
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