2023年5月18日木曜日

断言しない

 これまでTwitterやこのブログで翻訳者の手にまだ残る仕事がある、と言うと

一部の人から
・「業界の保身に聞こえる」
・「年配で(過去に)儲かりやすかった人が翻訳の価値を謳うことが多い」
・「機械翻訳はかなり進化している。自分の分野での進化を確かめてみては」

...のコメントを頂戴してきました(エアリプの場合もあり)。

 自分の働く業界を守っていったい何が悪いのかと思いますが、産業革命の時のラッダイト運動(機械打ちこわし運動)のように思われているのではないか、つまり自分たちの雇用を守るために機械翻訳やAIの進化を邪魔しているのではないかと考える人たちが、「翻訳者たちが『何とかしなければ』と声をあげること」自体を破壊的な行為とみなしているということでもあるのではないか、と思います。

ですから翻訳者の仕事は残ります、と「断言」してしまうと、

「(こんなに精度があがったのに翻訳者ごときが)まだAIのことをディスっているのか!」と怒る人が一定数いるように感じられるので、未来のことについて何事も断言できないということを肝に銘じる必要があるかもしれないと思いました。

ですから、今後は例外的な場合を除いて常に「...可能性がある」という言い方にしようと現時点では思っています。

・翻訳者の手には機械翻訳、AIの限界に関連してまだ仕事が残される「可能性があります

・少なくともまだ数年は語学に関連した仕事に就ける「可能性があります

と言えば、ただ可能性の話をしているだけなので誰からも文句は出ないのではないかと。

つまりは決めつけない、一般化しない、主語を大きくしない、いつの話をしているのか明確にする(現時点の話であるなら「少なくとも現時点では」と面倒でもいちいち言う)ということですね。

まあ、ものを書かせていただき、どこかの誰かにお読みいただく以上、当然のお作法かもしれないですが、正直、めんどくさいですね。