2017年9月29日金曜日

Tradosのお引越し

Tradosは私は1ライセンスの購入しかしていませんので、古いパソコンから新しいパソコンへと移し替える作業をしました。

そのやり方がどこに書いてあるのか自力では全く調べられなかったので、iPhoneアプリの「MySDL Trados」の「お問い合わせ」メニューからチャットで問い合わせてみました。

チャットを開始する前に氏名とメールアドレスを入力して「Chat Start」ボタンを押すとオペレーターの方が出てきてくれます。ここのインターフェースがそもそも英語なので、「えっもしかして英語?」と思い、とっさに問い合わせ内容を頭の中で英語で組み立てていると

チャットの女性が

"May I help you?"

と言ってきたので

(おっとやっぱり英語だ...)と思い、スマホのキー配列をアルファベットに切り替えて英語で打とうとしていたら、おもむろに

「日本語でも大丈夫です」

とおっしゃっていただけたので、安心して日本語で相談しました(笑)。

古いパソコンからTradosを消して、新しいパソコンにインストールし直すには、

「古いPCでTradosを立ち上げてメニューからヘルプ>製品のアクティベーション>「非アクティブ化」をオンライン状態でクリックしなければならない」ことを教えていただきました。

おっと危ない。古い方は消さなくちゃ、と「非アクティブ化」する前にアンインストールするところでした。この「非アクティブ化」がしていないと、新しいPCでTradosを使おうと思っても「ライセンスが使用中」となってしまい、新しいPCでアクティブ化できなくなってしまいます。

アクティブ化/非アクティブ化の状況についてはSDLのマイアカウントページで確認することができます。

ちなみに、チャットの担当者の方とお話しするときには6桁の注文番号を聞かれますので、チャットで相談されるときはその番号をあらかじめ用意しておいた方が良いかもしれません。

こうして

・古いPCでTradosを非アクティブ化
・新しいPCにTradosをインストール
・新しいPC上のTradosをアクティブ化

することができ、無事に新しいPCでTradosを使うことができるようになりました。

やはり、処理能力の高いPCにしたおかげでTrados開くの速いです!!
良かった。これでストレスなく作業が進められそうです。

今の仕事が終わったらいい加減「チュートリアル」動画を見て基本的操作から勉強しないと・・・とは思っているのですがなかなかできず。

また新たな情報を取得したら共有しますね!



2017年9月28日木曜日

新しいPCが届きました。

マウスコンピューターのPC届きました。思ったよりデザインも洗練されてます(失礼)。
昨日午後から半日かけていろんな設定をしていました。英辞郎をインストールし直したり。

たまたま昨日は昼間に仕事なくて良かった。

ワードとエクセルの読み込み・読み出しは圧倒的に速いです。だけどネットの読み込みスピードは前より遅いような…?でも一度読みだしてしまえばそこからは早いです。辞書サイトとか。

だからちょっと待ち時間が発生するのは最初だけですね。朝の作業開始時だけ少しモタモタします。が、それ以外は今のところ好調!

あとはキーボードのキーの位置がなんか微妙に(おそらく0コンマ何ミリレベルで)違うので、ちょっと慣れるまでタイプミスが発生しそうです。これも慣れですね。

キーボードの感触はちょっと前のDELLのPCより柔らかいですが、これはこれで良いかな。

やはり仕事道具は大事ですね~。このパソコンは大事に使って長持ちさせようと思います!

あと、Tradosは1ライセンスで1端末しか使えないので、お引越ししないといけないです。
難しいかなあ。研究しながら進めていきます。

2017年9月27日水曜日

翻訳者への道

私は35歳で社内翻訳者になり、40歳で在宅翻訳者になりましたが、人生のもっと早い段階で翻訳者になりたいと決めた人は、どういう道があるのかと考えてみました。

私が大学を卒業した22歳の時点では、通訳や翻訳の実力が備わっているとは到底思えなかったので、「働きながら学ぶ」道を選びました。

25歳で社会人だったときの夏の有給取得中に参加した「インタースクール」(プロ通訳者の養成学校)の「サマープログラム」(夏季の短期集中講座)で「これだ!」と思い、

子どもの頃から思い描いていた「通訳者になりたい」→「留学したい」→「まずはお金を貯めねば」

という図式がひっくり返りました。

なかなか目標額に達しない留学のための少額の貯金をスクールの授業料に突っ込んで、仕事は正社員から派遣社員に変え、平日夜の勉強時間を確保しました。

通訳と翻訳の勉強の仕方は違うと言えば違いますが、現在の私が翻訳を仕事として受けることができるようになったのは、この時の通訳学校での勉強がベースになっています。

通訳と翻訳に必要な力は、よく言われることですが語学力だけではありません。


1.原文を理解する読解力
2.理解した内容を別の言語に置き換える表現力

という二つ能力が必要なため、「英語だけできても通訳者・翻訳者にはなれない」のはよく知られたことです。

二つの言語を行き来して「理解→表現」というプロセスを「早く、正しく、分かりやすく」行うためには、「訳す練習をひたすら続ける」以外に他の道はありません。

よく、「英語の上達のためには日本語に置き換えるな、英語のまま理解しろ」と言われますが、それは「英語力」のみを向上させたい人に限った話です。

確かに、先に英語力を高めたいからまずは英語漬けの勉強をする、という時期があっても良いかもしれません。

しかし、「英語と日本語の間を行ったり来たりする」のを職業とする翻訳者になりたいのであれば、「日本語を介在させない英語勉強法」は近道だとは思えないのです。

翻訳者になりたいと思っているひとが今、学生なのであれば、

・卒業後にそのまま翻訳者になる

ことを目指して良いと思います。

そのためにできることは

翻訳の練習量をひたすらこなす

ことだと思います。

今、社会人なのであれば

・翻訳の通信(通学)講座で勉強する
・翻訳会社に転職する
・派遣登録してインハウス(企業内)翻訳者を目指す

などの道があると思います。

働いて生計を立てながら勉強すると言う人は、できれば働く場所も、自分が将来翻訳をやりたい分野の仕事に就いていると、後で役に立つことは多いと思います。

・自動車関係
・航空機関係
・医療関係
・法律関係

など、自分が将来翻訳者として仕事をしたい分野で働きながら、翻訳者になるための勉強を進めていく、という道はどうでしょうか。

2017年9月26日火曜日

凡ミスと誤訳

気をつければ防げる「凡ミス」

翻訳のミスには昨日お話した「訳抜け」の他に、いわゆる「凡ミス」、つまり気をつけていれば防げる小さなミスもあります。

・数字のミス
・句読点のミス
・ですます調、である調の不統一
・固有名詞のミス

私は2015年に始めた行った出版翻訳で、なぜか数字のミスを多発してしまいました。何度も推敲したはずなのに、数字を読み間違えており、担当コーディネーターに多数、赤を入れられ、本当に申し訳ないことをしました。

集中力の途切れによる、凡ミスですが、新人翻訳者に多いとのことです。

ある翻訳会社のトライアルで、1996年のアメリカ映画
"Independence Day"の表記を、邦画のタイトル通りに『インデペンデンス・デイ』としなかった応募者は全員不採用になったという話を、何かの本で読んだことがあります。

これはきちんと調べものをしなかったことによって発生したミスで、この手のミスは、多発すると「この翻訳者は調べものに手を抜くタイプだ」と思われてしまうので要注意です。


原文読解力の根幹にかかわる「誤訳」

それに対して、英語を正しく読めていない、ということに起因する「読解力の根幹にかかわる誤訳」には、具体的な防止策は「おそらくない」と言っても良いと思います。

英文法の本をまるごと一冊復習するぐらいの勉強をしないと、「誤訳ゼロ」にはできないと思いますが、やはり一番頼りになるのは自分の「勘」で、

なんか変だなと思ったらどこかが間違っている

という感覚を信じることだと思います。

特に、「さらっと読むと日本語として読めてしまう」という訳は危険です。
「で、結局どういう意味なの?」と疑問を持ったときに、説明できない、ということは、原文がしっかり読み取られていない可能性があります。

以前、通っていた学校であるビジネス書がテストの課題になったことがありました。
その本の原文に

"Walk the talk." 

という表現が出てきたのですが、ある翻訳書では「歩み寄り、語りかける」と訳されていました。
私はこの訳に対して、直観的に「どうも変だ」と思ったのです。

「歩みより、語りかける」なら、どちらも動詞であるので"walk up to and talk" あるいは "walk and talk" のはずです。

しかし、上の原文は"talk" に"the" がついているので"talk"は名詞、しかもwalkの目的語であるはずです。

つまり文の構造は「talkをwalkする」でなければならないはずなのです。

しかし、「歩みより、語りかける」という日本語が妙に文脈にマッチしてしまっていたために、その部分に対して私と同じように「なんか変だ」と指摘したクラスメートはいませんでした。

結局、「私の考え過ぎなのかな」と思ってしまい、そのまま解決しないでテストに臨んだところ、その部分がテストに出題されたのです。クラスのほとんどの人が翻訳書を読んで準備していたので、訳書にあった表現、「歩みより、語りかける」を使ったところ、全員不正解になりました。

正解は、

「言ったことを実行する」
「言った通りにする」「有言実行する」

という意味でした。

今は英辞郎にもこの表現は載っているので誤訳する人はいないと思いますが、私がこの"walk(他動詞)"の意味に悩んだ当時は、この表現は辞書には出ていませんでした。

walkには「歩く」(自動詞)という意味の他に

・「~を歩かせる」という意味があります。
「トークを歩かせる」ということはつまり、「自分の口から出たトークの内容を、実際に動かす」→「言ったことを形にする」→「有言実行する」ということになるのです。

この解釈をテスト用紙の返却の際に講師から説明されて、ようやく「ピースがはまった」と感じたことを今でも覚えています。

「違和感」が残っている時は「何かが間違っている」という感覚は、この時初めて実感しました。

よく知っている単語こそ要注意、ということは、よくあります。

外国語の勉強はいくら続けていても、完全にマスターする日が来ることなどあり得ません。「何かおかしい」という感覚を大切にすることで、少しでも誤訳を減らしていければ、と思っています。
  

2017年9月25日月曜日

訳抜け防止策

「訳抜け」というのは、原文にある内容が訳文で抜け落ちていることです。

訳抜けには様々な理由があると思いますが、私の場合を例に挙げて言うと、訳抜けが発生しやすい箇所は次の2つです。

1.主部と述部に当たらない修飾部分(抜けていても意味が通ってしまう箇所
2.関係代名詞などが多く、原文と訳文の単語の順番が大きく違う箇所

ます、1の場合で誤訳が起きやすいのは、「抜けていても気づきにくい」ためです。主語(主部)と述語(述部)は文章の骨格の部分なので、抜けると文章が成り立たないため気づかないで放置されることが少なく、抜けは起きにくいですが、それらを修飾する役割を果たす「形容詞」「副詞」は、抜けていても文章が成り立ってしまうことが多いため、自分の目だけで推敲していても、チェックの目をすり抜けてしまうことがあります。

難しい英語を読んで構造を理解しようとする時、目はまず「主語」はどこまでで、動詞はどこだろうと探します。まず、そこをとらえて文章の構造をとらえてから、修飾している部分を訳してつなげていくという工程が頭の中で発生しています。ですから、一文を全部訳し切るまで、気を抜かずに「書かれていることを全部拾うぞ」という気持ちでいないと、骨格だけとらえたところで安心してしまい、修飾語を抜かしてしまうというミスが発生しやすくなります。

これを防ぐために有効なのが翻訳支援ソフト(TradosやWordfast、Memsourceなど)の使用、またはExcel上で対訳形式に訳文を入力していくことです。これらを使用すると、一文ごと、あるいは任意の箇所で区切って左右に原文を訳文を展開しながら訳出作業を進められます。

左右に原文と訳文を並べながら作業していると、抜けている箇所があるときに気づきやすいです。どちらもできない場合に長い一文を訳す場合は、カラーのマーカーペンで、訳出が終わった箇所は塗りつぶすというやり方もあります。

頭だけで「訳し終わった」と思っていると、抜けている箇所があっても気づくことなく終わってしまいます。手と視覚的な手段を使って、訳し終わっていない箇所を物理的に浮き出させて対処するのが、原始的ですが有効な方法だと思います。

次に、2番目に訳抜けが起きやすいのは、関係代名詞が多い時など、元原稿に出てきた順番通りに頭から訳せない場合で、「ここは残して後ろから訳して前に戻ろう」と思っていて、残しておいたことを忘れてしまうパターンです。

出てきた通りに前から訳せる場合は、訳抜けは起きにくいです。今訳している箇所が自分でも分かっていて作業を進められるからです。関係代名詞などで後ろから大きく前へ戻って訳す場合は、「いま、一時的に訳すのを保留にして残している箇所」を鉛筆で丸く囲んでおくだけで、ずいぶんこのミスが減ります。

また、ごくまれに一文が非常に長い場合、改行部分でなぜか一行飛ばして次の行へつなげても読めてしまう時が時々あります。契約書などに多いですが、これは訳している途中でつじつまが合わないことに気づくので、さすがに分かります。

いずれにしても、訳抜けを防ぐためには、「完成した訳を読んで不自然な箇所がないか」という観点だけで推敲していては不十分ということです。

推敲の際には、「原文を残らず拾っているか」という視点でチェックすることが非常に大切です。


2017年9月22日金曜日

マウスコンピューターのパソコン

仕事用のパソコンをついに買い換えました。翻訳者としてパソコンを使い倒しているにもかかわらず、パソコンの知識が全くなく、どれぐらいのスペックだとどれぐらいの処理能力があるのか全く理解していなかったので、三年前に購入した現在のパソコンを買った時は受注量も収入もまだ今より少なかったこともあって、予算内で買えるものを選んだだけでした。

今回、8月の終わりにTradosを入れたこともあって、やはりというか、案の定というか、やっぱりこうなるよねという感じになったというか、パソコンのパワー不足に明らかに不満を持つようになりました。

そもそも、翻訳者に必要なパソコンのスペックとはなんだろう、と思い(そっから⁈)、「翻訳者 パソコン  スペック」のキーワードでググッたところ、ある特許翻訳者さんのブログがヒットしました。

それによると、翻訳者が仕事をこなすのに必要なスペックは

・メモリ8GB以上、できれば16GB
・ハードディスク 1TB、できれば2TB

が望ましいとのことでした。

家庭用の機能や、一般的な事務処理に必要なのはメモリ4GB、ハードディスクは500GBほどで十分だと思いますが(いま使っているのがこの容量)

この記述をみてやっぱり私のパソコンのスペックは翻訳の仕事をバリバリこなすには能力不足かもしれないな、と思い、思い切って購入することにしました。

ネット上でカスタマイズして注文できるサイトはDELLが有名ですが、DELLより安価でハイスペックなパソコンを注文出来る「マウスコンピューター」という会社があり、今回はそこで注文しました。

マウスコンピューターの「ノートパソコン」の「ハイエンド」売上1位のモデル(メモリ16GB、SSD258GB、ハードディスク1TB、オフィス付きがベース)に、オプションで

・ハードディスク1TB→2TB  

・マカフィー(ウィルスソフト)三年分 
・三年間の修理保証

を付けて

18万円ちょっとになりましたが、20万円以内でこのスペックなら大満足(⁉︎)ということらしいです。

これでTradosを入れ直してバリバリ働くぞ〜!
ていうか、バリバリ働いてね〜〜パソコンさん(笑)。

動作がどれだけサクサクになるのか楽しみです。これから生産に入るとの連絡が来たので、一週間ほどで納品されます。


届いたらまた使ってみた感想などお伝えします。

2017年9月21日木曜日

翻訳スピードを上げる

翻訳者に限らず、フリーランスにとっての重要な課題は、仕事の質を落とさずスピードを上げることです。

以前にも一括置換を使うなどの物理的な手段についてはお話ししましたが、それとは別に、翻訳処理自体をもっと早くするにはどうするか、ということについてここ最近で実感したことがあるのでそれをお話しします。

ここのところずっと短い納期で大量の仕事をするという状況が続いていましたので、まずは、そういう切羽詰まった状況に自らを置くということがあります。ただ、それだと睡眠時間を削ったり家族との時間を犠牲にしたりして、ただひたすら机の前にかじりついてやるだけということになります。

依頼主に取っては実際のスピードが上がっていようが、睡眠時間を削って間に合わせたのであろうが、とにかく希望納期に間に合わせてくれれば「仕事が早い人」ということになるので、仕事のスピードが上がっていない中で「仕事が早い人」だと思われているととんでもない日々が続きます。

ですから、本当の意味で「1時間で終える処理量を増やす」ということを目標にしていきたいところです。

私の好きな作家のはあちゅうさんは、noteという投稿サイトで有料マガジンを展開されていますが、その記事の冒頭にはいつも「私はだーっと書いて後でつじつまを合わせるタイプなので多少のアラはお見逃しいただければと」と書いています。

翻訳もそれと同じく、「ダーッと訳してから後で見直すとどうなるのかな」と思って、試しに「一文一文でいちいち自分の訳を振り返らない」を自分への課題としたところ、後で全部見直した時にも、結局普段通りの出来栄えだったことが判明しました。

自分ではそれほど終わった箇所の訳文を振り返りながら進んでいるつもりはなくても、視界に入ると、ついつい何度も振り返りながら気になるところは直したりしながら進んでしまいます。

そうすると最後まで訳し終わるまでに膨大な時間がかかることになります。結局最後まで訳し終えたら最初から読み直して推敲するので、訳す時は一気に訳し上げてしまう方がスピードが上がります。

推敲はしなくても良いとか、一度だけで良いと言いたいわけではありません。「途中で何度も振り返らない」ということです。

今度自分の訳出スピードを計測したいときがあったら一度お試しください。それだけでかなり速く(しかも品質はそれほど落とさずに)仕事を終えられることに気がつくと思います。

2017年9月20日水曜日

仕事をしながらブログを書く

納期のキツイ仕事、やっと終わりました。さすがにブログを更新する時間もなく、「平日毎日更新」の目標もあわや破るところでしたが、なんとかこうして書いています。

このブログを見に来てくれる人の中には昔の勉強仲間もいますが、「いつも忙しいのにどうやってブログ書いてるの」と聞かれます。

半徹(半分徹夜みたいなもん、の意。私の造語)明けの回らない頭ですので、今日は本筋からずれますが、仕事とブログ執筆について書こうと思います。

発信を続けることで(間接的に)仕事につながる

6月の上旬にスタートしたこのブログは、この記事で74本目になりました。「その内容って、誰が読むねん」と突っ込む人も少なくないマニアックすぎるこのブログですが、おかげ様で5,000PVを超えました。

このブログの目的は、翻訳まわりの事務的な雑事を解説することが表向きの目的ですが、
裏向きの目的、つまり私にとっての私的な目的というのは、「ブログという手段で発信することによって、ネット上で私へのアクセスを増やすこと」、つまり、本業の仕事のチャンスを増やすことです

おかげさまでその効果は出ています。翻訳者紹介ディレクトリには国内向けにも海外向けにも、このブログを始める以前から登録していたもののあまり問い合わせがありませんでしたが、このブログ開設と同じタイミングで国内外から問い合わせが増えました。

タイミングが同じというだけでたまたまかもしれませんし、世の中の景気が上向いてきて仕事が増えたのかもしれませんが、ブログでの発信というのは仕事獲得に間接的につながっていると確信しています。

毎日更新してますが毎日書いてません

そんなメリットの大きいブログ執筆ですが、あまり長い時間を割いていると本業に差し支えます。ブログ一本の執筆にかける時間は15分が目標、長くても30分以内には書き終えています。

以前他のテーマでブログを書いていたこともありましたが、毎日「ええと、今日は何を書こうかな」と考えるところからスタートしていたので時間がかかりすぎてしまい、結局忙しい中で更新することができなくなり、そのうちにやめてしまいました。

そうならないために、私はこのブログ記事はネタを思いつくたびに下書きトレイにどんどんネタをためていっています。常に5日分ぐらいは下書きトレイに原稿がある状態です。

ここ1週間でかなり納期がタイトな仕事をやりましたが、その間も変わらず更新できたのは、そうやって書きためていた「貯金」を食いつぶしていたからです。

さすがにその記事貯金も使い果たしてしまい、昨日の記事はあのような形になったわけです。

毎日ブログを書く時間を取るのは大変なことです。毎日ネタ探しするのも大変です。
でも、ネタというのは思いつくときには複数思いつくものです。そういう時にこそ、ここぞとばかりに書いてためておきます。

今日はかなり舞台裏を披露してしまいましたが、この続きはまた後日。
大きいロットの仕事の納品を終えて疲れているところなのでダーッと打ったこの文章を、直しもせずにポチっと投稿します。

明日から平常運転に戻します。またおつきあいください。



2017年9月19日火曜日

忙しい…

自分の処理能力を見誤り、能力以上の量の仕事を受けてしまいました。リアルタイムで後悔しています。

自分のキャパシティを完全に過信していました。やっぱり、そんなに急激にこなせる量が増える訳はないですね。毎回火事場の馬鹿力みたいなスピードではちょっと体が持たないです。

次からは少し納期調整を願い出てみようかと思います。今はとにかく納品まで頑張らなくては。

マジでキツい…

2017年9月18日月曜日

作業中の超アナログなメモ書き

紙の方が便利なメモ書き

20枚とか30枚とかの大量の英文を1人で何日もかかって和訳している時、キーワードが何度も出てくるときに、以前は大きめの付箋にメモを書いて机の柱に貼っていました。

そんなに何個も出てこないだろうと思って書き始めた付箋が、6枚にも7枚にもなると、結局ホチキスでとめたりして、見やすいような見づらいような状況になってしまいます。

そういう時に翻訳メモリがあるじゃないか、Trados入れたんじゃないかと、自分でも突っ込みたくなりますが、なんといってもまだ発展途上で、Trados案件は来たらファイルを空けて翻訳作業して閉じて返すだけで、プロフェッショナルな使いこなしはできていないのが現状です。(ほんとはウェブセミナーとか受けたいのですが全然時間がないのです)

結局、付箋では大きさが足りないと今更ながら気づいたので、今はA4コピー用紙に殴り書きで箇条書きにして繰り返しの多いキーワードを書きつけています。

エクセルの用語集も良いけれど作業中は返って使いにくい

エクセルで自分で作った用語集のテンプレートがあるので、そこにどんどん入れていくという考え方もあるのですが、それはTradosの用語集を使いこなせた時の作業にするとして、やはり、翻訳作業中の、今、この瞬間に、「えっとさっきの何て訳したっけ」という短期的なメモ書きには自筆の殴り書きが一番見やすいのです。ノートPCの作業ウィンドウを一つ増やしてまでエクセルファイルをひとつ常に開けっ放しにしているのは、私にとっては効率がよくないのです。

また、変に罫線を引いた紙や用語集の体裁に印刷した紙なども、逆に使いにくいです。

真っ白なA4コピー用紙にどんどん書いていく

のが一番使いやすいです。それをデータホルダに置いて常に傍らに掲示しながら作業します。





データホルダは以前は元原稿を置いて定規のような透明のバーを上下に動かしながら、作業中の箇所を確認しながら翻訳作業をしていたのですが、今はTradosWordfastMemsourceなどの支援ツールを使った作業が多いので、データファイルに原文を置いていても、常にそこに目線を置きながら作業するようなことはあまりなくなりました。ただ、図がある場合や、レイアウトがどうなっていて本文のつながりがどうなっているかなどを確認するために、やはり原文のプリントアウトは必要なので、A4殴り書き用紙の下に置いています。

2017年9月15日金曜日

Evernoteの活用

私はPCとスマホの両方に「Evernote」(https://evernote.com/intl/jp) というソフトとアプリを入れて、ちょっとしたアイデアやメモ書きを書き留めています。PCで書いたものもスマホで書いたものもその場ですぐに同期されて、どちらの端末からも同じものを読むことができます。



メモ書きの内容はフォルダのように「ノートブック」ごとに分けて整理することができるので、私は日常生活の中で「よい訳になりそうな英語と日本語」に出合ったときは忘れないうちに書き留めています。

例えば英語の「paranoia」という単語は英和辞典で引くと
偏執病、妄想症、などという訳が出てきますが、実際には口語では
「強い恐怖心を持った」「心配しすぎ」などというニュアンスで使われる言葉です。

あまりにも普通に使われるので最近では「パラノイア」とカタカナで表記されることも多くなりましたが、まだまだ一般的には浸透しているとは言えない単語だと思うので、「うまい日本語訳」に出会った時にはメモするようにしています。

私のEvernoteにはparanoiaの訳のメモとして
「悲観主義者」「極度の心配性の人間」と書いてあります。(出典も書いておけば良かったですが見当たりません...すみません...)


また
いつもお世話になっております」を "Thank you for your correspondence." にしてあるのは中身のない決まり文句っぽさがちょうどいいなと思ってメモしたものですし、

ニュースや医療ドラマで良く聞く「命に別状はない」は
the injuries of the 〜 were not life threatening (BBC news)    

と書き留めてあるので出典はBBCニュースだと思います。

これらのメモはEvernote全体からキーワード検索もできるので、時間がない時に急いで書きつけたメモでも後からすぐに探すことができます。以前はメモ帳を持ち歩いて書き留めていましたが、最近ではもっぱらEvernoteです。

ちなみにEvernoteは無料プランだと端末二つまでしか使えません。PC一台とスマホ一台といったイメージですが、私の場合、自宅作業用PCと持ちだし作業用PC、スマホの3台で使用したいというニーズがあるので有料プランに変更しようかな...と検討しています。

2017年9月14日木曜日

尊敬する翻訳者、越前敏弥さん

「翻訳ものは読みづらい」を払拭した衝撃の一冊

翻訳物は読みづらいと思っていた以前の私にとって、2004年に刊行された越前敏弥さん訳の『ダ・ヴィンチ・コード』の読みやすさは衝撃的でした。

英語くさい英語も、「日本語ならどう言うか」を練りに練って考えられていて、「翻訳書特有の違和感」が全くない翻訳。ぐいぐい引き込まれてあっという間に読み終わった本です。

最後のどんでん返しのシーンでは電車の中で「えーーっ」と声を出して驚いてしまい(帰りの通勤電車の中で読んでいました)、同じ車両に乗っていた周りの人にチラ見されたことを覚えています。


その後、こういう翻訳ができる人ってどんな人なんだろう、と興味を持ったのがきっかけで、

・『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文

・『越前敏弥の日本人なら必ず悪訳する英文

・『越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 リベンジ編

を立て続けに読みました。翻訳に従事されている人ならもちろん、そうでない人でも英語に興味のある人ならとても面白いのでお勧めです!


越前さんはTwitterの中で

"よく「翻訳を勉強中ですが、日本語を鍛えるにはどうしたらいいですか」と訊かれるけど、翻訳を勉強中だったら、翻訳をすること自体が最高の訓練です。名文や名訳を読むのもいいけど、それは受け身。徹底的に調べて、原文の制約のなかで最大限に力のある日本語を書く以上の訓練はない。"

"翻訳は、翻訳をすることによってしかできるようにならない"

とおっしゃっています。

「原文の制約のなかで最大限に力のある日本語を書く以上の訓練はない」という言葉にすべてが集約されていると思いますが、

日本語の表現力の向上」と「英語の理解力の向上」を両立するには、やはり「翻訳をやり続けるしかない」、ということに尽きます。

日々頂けるお仕事の中で、私自身も、一歩でも前へ歩みを進められているといいなと思いつつ、自分の好きなものを読んだり書いたり訳したり、を続けて「うまい翻訳」ができる翻訳者に近づいて行きたいと思います。

前から越前さんの『翻訳百景』を読みたいと思っていたことを思い出したので早速Amazonでポチりました。感想はまた後日...。

2017年9月13日水曜日

カタカナ語をどこまで残すか

英語から日本語に翻訳するとき、どの程度までカタカナ語訳を採用するかは、翻訳者も非常に頭を悩ませる問題です。

例えば、「シミュレーション」はカタカナでも意味が分かる人は多いと思いますが、「コンフィギュレーション」の意味がすぐに分かる人は一般的には少ないと思います。

また、「アプリケーション」「ブラウザ」はカタカナのままで良く見ますが、「パラメータ」は何だっけ?と思うと思います。

こうしたコンピュータ用語だけでなく概念的な言葉、例えば「ポジティブ」「ネガティブ」などは無理して日本語に置き換えるより、英語のままで理解されていると思いますし、サッカーなどで「ナイスシュート!」という時の「ナイス」は「良い」「素晴らしい」などど訳してしまってはおかしなことになります。

このように英語がカタカナのまま日本語の中にどんどん取り込まれていっている現状で、カタカタを残すかどうかは、「日本語の中にどの程度普及しているか」と、「読み手が誰か」による、としか言えないと思います。


専門家の間では英語のまま通じる言葉でも、

一般の使用者向けに書かれた製品の取扱説明書やマニュアル

などは、日本語に訳せるところは日本語に落とし込んだ方が親切ですし、反対に

専門家同士でやり取りする図面などの中での表現

では、変に日本語にされると逆に分からないのでそのまま残して欲しい、と言われる場合も多々あります。

結局のところ、どこまでカタカナを残すかはその場の判断となるので、一般的な使われ方、業界での使われ方、日本語に訳した表現とカタカナ表現のどちらがより分かりやすいか、などを、その都度丁寧に検証しながら決定していくしかなく、王道や公式はないと言わざるを得ないでしょう。

日本語にどう訳していいか分からない単語をとりあえずカタカナ語にして行けば、表面的には何とか日本語になって落ち着くかもしれませんが、読んだ人が何のことを言っているのかさっぱり分からないのであれば日本語に訳したとは言えません。

「日本語として自然かどうか」の感覚は、やはり長年いろんな文章を読んで蓄積されてきた中でしか養われないものなのかもしれません。この感覚こそ、日本語ネイティブとしての勘が生かされる領域だとも言えます。

2017年9月12日火曜日

ファイル暗号化ソフト

機密書類をメールで送受信する際の方法として、以前の投稿でワードファイルやエクセルファイルに直接暗号をかける方法をご紹介しましたが、今回はもっと便利なソフトウェアの存在を知りましたのでご紹介します。

定番のファイル暗号化ソフト「アタッシェケース」



「窓の杜」で無料でダウンロードできます。

http://forest.watch.impress.co.jp/library/software/atasshecase/

ソフトをダウンロードして開き、ファイルまたはフォルダをドラッグ&ドロップするだけで

・暗号化ATC
・暗号化EXE
・パスワードZIP

のファイルを作成することができます。

同じく上記で暗号化されたファイルをこのソフトウェアで復号することもできます(パスワード要)

自分が設定したパスワードを先方に知らせる際には、別のメールで知らせます。

使いやすくて動作も分かりやすいソフトウェアでとてもお勧めです。

2017年9月11日月曜日

電子ファックス送受信サービス

原稿の受け渡しについては、最近はそのほとんどがメールで行われますが、時々、関連資料などの送付でファックスが必要な場合があります。

自宅の固定電話にファックス機能がある場合は良いですが、ない場合や、出先や出張先でもファックスを確認したい場合は電子ファックスのサービスが便利です。

ちなみに私は

・Pamfax

というサービスを利用しています。Skypeと連動したサービスです。

 
 
その他にも
 
eFAX
jFAX
 
などがあり、色々なサービスを比較した一覧がこちらのページで紹介されています。
 
送るだけなら無料のところが多いですが、受信するのも無料のサービスは、送信する側に高いお金がかかったりすることもあるので、比較検討の上吟味が必要です。
 
また、スマホで書類をスキャンしてそのままファックスで送れるようなアプリもあるようです。
便利な道具はたくさんありますね!
 
私は仕事がない夏休みなどは平日に子どもを遊びに連れて行っていることもあり、急な問い合わせにもスマホで応対できますが、「今からファックスで送ります」などという時も、Pamfaxならスマホ上でファックスの内容を確認できます。
 
忙しい営業マンの方々だけでなく、私のような兼業主婦にとっても大変便利なサービスです。
 
 
 




2017年9月8日金曜日

英語の請求書

個人で仕事をしていると、依頼主が海外の方で、請求書も英語で起こすという場面もあります。
英語のinvoiceのテンプレートは、"invoice template" などのキーワードで検索するとダウンロードできるサイトが色々とありますが、ちなみに私はMicrosoftの無料で使えるサービスを使っています。

https://templates.office.com/en-us/Invoices


ダウンロードすると中身はエクセルファイルのテンプレートです。

これに取引内容の他に住所や口座番号などの情報を入れて作成、最後にPDF等に変換して相手先に送付します。

紙の請求書を郵送で送ってくださいという海外の請求先はほとんどいませんので、送付方法はほとんどがEメールです。

ちなみに私は決済用のPayPalアカウントも持っていますが、法人相手ですとクレジット決済を希望する依頼主はあまりいないですね。あるクラウド翻訳からの入金の際のみに使用しています。

前にも書きましたが、仕事が立て込んでくるとこうした事務作業の時間がネックになってきますから、時間が空いている時に、英語の請求書のテンプレートは予め作成しておいても良いかもしれません。


この他に有料サービスや会員登録をすれば一部のサービスを無料で使えるサービスなど、色々あります。

有料サービスですともっと色々な機能を備えたキレイなレイアウトの請求書もたくさんあります。私の場合は、独自の請求書を出す必要のある海外の取引先とのやりとりは年に数回なので、必要な情報が最低限載せられる無料のものを使っていますが、好みによっては色々と凝ってみても良いと思います。

2017年9月7日木曜日

アジアとの時差

このところアジアのエージェントから仕事をよく受注しています。

アジアの国は時差も2〜3時間と短いので、ほとんど日本国内と同じように仕事できますが、日本より数時間遅いので、日本では夕食の支度をしている時間帯に現地はちょうど午後の2時とか3時の忙しい時間帯に当たるため、ガンガンメールが入ってくることがあります。

キッチンにいる時は携帯をデスクに置きっ放しにしていることが多くて、重要な仕事のメールを見落としたことがありました。

ある時たまたまスマホで「クックパッド」を見ながら料理をしていたら仕事の依頼のメールが入ってきた、ということがあり、それ以来料理中もスマホはキッチンのテーブルに置くようにしています。

アジアの国と取引していると日本時間の遅めの時間帯までメールが入ってくることがあるので気が抜けません。大好きな月9ドラマを見ていても仕事の依頼メールが来ることがあるので、スマホの充電ケーブルは各部屋に必須です!

2017年9月6日水曜日

初のTrados案件

短い案件でしたがTrados案件を一つ終えました。全く使い方も何も練習していませんでしたが、Trados用のパッケージにしたデータが送られて来たので、TradosをインストールしてあるPCで開いたらすぐに作業出来ました!

これまでもMemsourse やWordfastでは作業したことがあったので、あまりバタバタせずに出来たと思います。

今後はもっと使いこなして、WordやExcelなどのファイルからプロジェクトファイルを作成するところからできるようになりたいですし、用語集も使いこなせたら嬉しいです!

…が、仕事もどんどん頂けるのでなかなか手が付けられない…。結局こうやってOJTみたいな感じで覚えて行くのかなと思います。

でもやっぱりちょっとPC重くなった気もします。

他の翻訳者さんのブログで、作業用と辞書閲覧用でディスプレイを分けている方がいらっしゃいました。

ツインディスプレイも、検討してみようと思います。

2017年9月5日火曜日

意味のまとまりごとに切って訳して後から編集する

社内翻訳時代は英訳が多かったので、フリーランスになってすぐは和訳のスピードがあまり上がらなかったのですが、このところ和訳の依頼が多いせいか、和訳のスピードが少し上がって来ました。

関係代名詞でどんどん後ろへ修飾節がつながっていくような、一文が長い英語の場合、学校の英文解釈のように後ろから訳していると、訳文がわかりづらくなるだけでなく、訳出時間も長くかかります。

同時通訳は話の聞こえた順に情報を処理して行きますが、それと同じように長い文章を翻訳する時も、出てきた情報の順に日本語に置き換えて行く方が上手く行きます。

文字を追っている時も、私たちの脳はたいてい、目で一度に見える範囲しか処理できないので、一文を長々と読んで全部理解してから文の冒頭から訳し始めていると途中の部分を何と理解したのか自分でも忘れてしまうことがあります。

自分で訳出が遅いと思っている人は、頭の中で何度も同じところを行ったり来たりして訳しているのかもしれません。

例えば、英文契約書では一文が12行とか13行ということもあります。

AはBである、ただしそれはCがDのときに限る…………

というように、ある文を成立させるために後ろへ後ろへどんどん条件が続いていきます。英語では最初に結論を言ってしまっているので、後ろにいくら続けても英語ネイティブの読み手には負荷はかかりません。出てきた順に論理を追えば、順に理解できるのが英語ネイティブの人の脳です。

しかし、日本語の場合は最後に術部で締めなければならないので、修飾部はほとんど、文の間に入れ込まなければならなくなり、ここでたいていの人は頭が止まってしまいます。

CがDで、EがFで、◯が△で、…………の時、AはBである、ただし◼️◼️の場合はこの限りでない。


というような具合です。

これを一文全部、理解するまで手を止めていたら時間がかかりすぎます。

最終的に読みやすい日本語になっていて原文に沿っていれば良いので、意味のまとまりごとに切って訳したものを後から綺麗に編集する、というやり方です。日本人なので日本語の方が処理しやすいのです。

頭の中に綺麗なイメージが出来上がってからアウトプットに落とし込むより、アウトプットしながら手元で綺麗な日本語に直して行くという感じです。

これを手書きでやるとなるとゾッとしますが、切り貼りも編集も簡単なPC上の作業ならではのやり方かもしれません。

2017年9月4日月曜日

専門用語の調べ方

専門用語が辞書にも図書館の本にも載っていないという場合、頼りにするのはインターネットです。

Google検索での検索結果の多い方を訳語として採用する、というやり方もありますが、道具や施設の名前など、知りたい単語が名詞や固有名詞である場合Wikipediaのページの見出しを使って訳語探しをしています。

例えば「六角棒スパナ」という語を英語にしたいとき、一般の和英辞典や英辞郎には出ていません。『180万語対訳大辞典』には"hexagonal wrench key" という訳語1つだけが出ています。

これしかないからこれを採用したいところですが、まずは「六角棒スパナ」とは何か、を日本語で調べます。するとGoogleですぐにヒットして画像も出てくるので、ああ、これか、とピンときます。


組み立て式の家具などを注文すると付属してくる工具ですね。

次にこの「六角棒スパナ」の日本語Wikipediaのページを見ると、他の言語でもこの工具について説明されていることが分かります。





このように"English"へのリンクがあるので、ここをクリックすると英語ページへ飛びます。





すると同じものを説明するページの見出しは"Hex key"であることが分かります。同類と思われる工具の写真も載っていることから、同じものを説明していることは明らかです。

Wikipediaの情報には出典がないので信頼性に欠ける、という考え方もありますが、このような一般的な工具の名称については、一般的に一番よく使われている名称がタイトルになっていると考えられます。

社内で決まった用語がある場合はもちろんそれを使いますが、調べる手段が他にない場合は、こうしたやり方もひとつの方法だと思います。

2017年9月1日金曜日

英日と日英

現在の私の仕事は約7割が「英訳」

現在の私の仕事において、英→日と日→英の割合は3:7ぐらいで日英が多いです。

愛知県を中心とした東海地方の企業からの受注を中心にしていると、「日本語資料の英語版作成」というニーズが高くなります。海外展開しているメーカーが多い、この地方ならではの特徴だと思います。

私たち日本人の書く英語は、英語を母国語とするネイティブに見せれば、細かいところをあちこち直されるような英語かもしれません。しかし、日本語を母国語とするからこそ、原文の理解においては有利であることは間違いありません。

本来はターゲット言語に訳すのが原則

海外の翻訳業界では、「母国語をターゲット言語(訳出後の言語)とする翻訳」を原則としています。日本人の場合でいうと、

・外国語である「英語」から、母国語である「日本語」へ訳す

ことしか求められていないことになります。

これは「表現レベル」において母国語のレベルを要求しているからです。ただし訳し上がった成果物がいくら美しくても、原文の英語を正確に伝えていなければ本来は翻訳としての意味がありません。

不実な美女か貞淑な醜女か

この点において「日本語から英語」方向への翻訳をする場合、

➀日本人が訳すと日本語原文の読み取りは正確だが英語での表現力が不足

②英語ネイティブが訳すと英語での表現力は高いが、日本語原文の読み取り能力が不足

という二択に迫られることになります。

一番いいのは➀+②の第3の選択肢、

③日本人が訳した英語を英語ネイティブがリライトする

という方法ですが、2人の手を介するために時間とコストがかかることは避けられません。

そこで限られた時間と予算の中、➀と②のどちらを重視するかという場面で、技術翻訳においては➀が選ばれることが多いという訳です。

ロシア語通訳者の米原真理さんの『不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か』というエッセイのタイトルにあるように、多少のアラには目をつむっても内容の正確さを取るか、内容の正確さを犠牲にして英文としての洗練度を取るか、というのは翻訳依頼主の永遠の課題です。

ですから、英語ネイティブのように文法ミスがゼロで洗練された英語を書けないからと言って、翻訳者として需要がない訳ではありません。現に私の仕事の7割近くが英訳であるように、日本人翻訳者の手による英訳需要は、実際のところかなりあります。


日本語ネイティブとしての「和訳」

一方、残りの3割は主に海外のエージェント経由で「英日」翻訳をしています。
こちらはまさに上に述べた通りの理由で、日本人として「日本語のナチュラルさ」を求める依頼主から仕事を受注しているという訳です。

また、非日本語ネイティブが訳した日本語を、「ネイティブチェッカー」として直す仕事もあります。
ワード単価は最初から日本語に直す仕事の約半分ですが、かかる時間もおおよそ半分程度なので、時間単価としてはほぼ同程度になります。

「英語っていつまで勉強していても難しい」「むしろ勉強すればするほど難しいと感じる」我々日本人翻訳者にとって、「日本語ネイティブ」であることがこれほど求められる場面もないでしょう。


どちらの仕事も楽しいです。作業している時は、脳の別の部分を使っているように感じます。
両方の仕事をバランスよく引き受けていると脳の疲労度も軽減される気がします。