2017年7月31日月曜日

12-2 テキストボックス貼付けでPDFファイルの原稿にも上書き対応可能

 12-2 テキストボックス貼付けでPDFファイルの原稿にも上書き対応可能

PDFファイルで原稿が来たとき、「上書き翻訳して欲しい」というリクエストがあることがあります。

先日お伝えした方法でPDFをWordに変換できると言っても、クライアントはおそらくWordには変換して欲しくないと思います。

そういう時は、「テキストボックス」機能を使って、パラグラフごとに「白塗りつぶしあり」のテキストをPDF原文に貼って行きます。

英訳案件には「ファイル上書き翻訳」の需要が多いので、Word, Excel, PowerPointの他にPDFも「テキストボックス貼付けで対応できますよ」と言うとかなり喜ばれます。

2017年7月28日金曜日

第12章: OCR機能とPDF

第12章: OCR機能とPDF

 12-1 OCR機能の飛躍的な発展とオンラインサイト「I Love PDF」

OCR(Optical Character Recognition、光学的文字認識)の技術はここ数年で飛躍的に進歩しました。この技術の発展のおかげで、PDFファイルや画像ファイルをWordやExcelなどに変換することができるようになりました。

I Love PDF



というサイトは本当に「無料でいいのかなあ」と思うほどのサービスをオンラインで提供してくれています。

・PDFからWord(その逆)
・PDFからExcel(その逆)
・JPEGからPDF(その逆)
だけでなく、なんと

・PDFからPowerPoint(その逆)も可能なんです!驚きですよね。
これは数年前までは不可能だったと思います。

とにかくこのことにより、

・原稿がPDFで来た場合の見積もり用文字カウント
が劇的に便利になりました。

どんなファイルも→一旦PDF化して→Word化→Wordの文字カウント機能を使用
すればきっちりカウントできます。

2017年7月27日木曜日

11-2 Dropboxの活用


11-2 Dropboxの活用

昨日は翻訳作業中のデータのファイリング方法を少しお話しましたが、私は万一の時のために作業中のファイルはすべてDropboxにデータをバックアップ(保管)しています。

せっかく時間をかけて訳したファイルも、停電でパソコンの電源が落ちたり、誤作動でファイルが消滅したりするリスクは常にあります。

Dropboxはクラウドを利用したオンラインのストレージサービスの一種で、2GBまでは無料で利用できます。

私は仕事のファイルの他にも子どもが幼稚園の時にPTA活動をしていた時に使っていたファイルも保存していたので2GBでは足りなくなり、現在は有料プランを利用しています。(1,296円/月額)

クラウドサービスの良いところはインターネットがつながる場所であれば保存したデータをどの端末からも取り出すことができるところです。

オンラインのストレージサービスには様々なものがありますが、私がDropboxを気に入って使用しているのは、同期が圧倒的に速いからです。

その他にもオンラインのストレージサービスには
・Googleドライブ
・OneDrive
・iCloud
・Amazon WorkDocs

などがあります。それぞれを比較したまとめサイトなども多数ありますので、「オンラインストレージサービス 比較」などのキーワードで検索すると色々ヒットすると思います。

また、これらのストレージサービスを使用しない場合も、仕事が完了するまではUSBなどの記憶媒体にバックアップを取っておいた方が安心です。一瞬の不運な出来事で仕事が全部飛んでしまったら泣くに泣けません。

2017年7月26日水曜日

第11章: ファイル管理とデータバックアップ:  11-1 受注案件フォルダの作り方

第11章: ファイル管理とデータバックアップ

 11-1 受注案件フォルダの作り方

話が前後しますが、具体的に仕事を受けた時のデータのファイリングについて、少し細かくお話しておきたいと思います。

仕事を受けた時、ファイルはクライアント別に保存しておきます。(画像はダミー)



クライアント別のファイルの中は、仕事の案件ごとに日付順にフォルダを作ります。
フォルダ名の冒頭に日付を入れることによって、フォルダが日付順に自動で並び代わります。



さらに各案件のフォルダの中身は
・「原稿」フォルダ
・「参考資料」フォルダ
・「庶務」フォルダ
・「納品」フォルダ

の4つです。


・「原稿」フォルダの中には依頼主から送られてきた原稿ファイルをそのまま入れます。
・参考資料がある場合は、「参考資料」フォルダの中に入れます。
・「庶務」フォルダの中には、見積書、請求書、見積もり用文字カウントに使用したエクセルファイルを入れています。(文字カウントした結果はエクセルにメモすると計算式が使えて便利です)
・納品する翻訳後のファイルは「納品」フォルダの中に入れます。

案件終了後には、案件名のフォルダ名の冒頭に「済」を付けると一番下へ下がりますので、見やすくなります。



依頼主によっては案件終了後、一定期間経過後にはフォルダをすべて削除して欲しいということもありますので、その場合はすべて削除します。(機密保持の観点から)

2017年7月25日火曜日

ひとやすみ:技術英語によく出てくる記号

ひとやすみ:技術英語によく出てくる記号

技術文書を翻訳していると、下記のような記号がよく出てきます。



昔学校で習ったような気もするものの、読み方が分からないと入力することもできず、調べようにも検索エンジンにも入れることもできないので、今までによく出てきたと思うものを一覧にしてみました。この「読み方」のところに書かれているひらがなを変換すれば、左側にある記号が出てきますので、もしよかったらお使いください。

ちなみに「≒」は未だに読み方を知らないのですが「きごう」と入れると出てきます。その他にも「きごう」と入れて変換すると表示される記号はいくつもあるので、試してみてください。

2017年7月24日月曜日

10-3 専門外の仕事は無理して引き受けない


10-3 専門外の仕事は無理して引き受けない
 
翻訳者にとって自分の専門分野を持つことは重要なことです。大学での専攻や前職での経験が関係している人や、たまたま最初に社内翻訳者として仕事したときの分野がそのまま得意分野になっている人など、様々なパターンがあると思いますが、「何でもやります」という翻訳者には逆に何も来ないということが言えると思います。
 
自分がどんな分野に向いているか分からないから、色々な分野にチャレンジしてみたいというのももちろん分かりますが、実力・経験が伴っていない分野の場合は、断る勇気も必要です。
 
 
20年ぐらい前の話で、私が当時20代で派遣社員として貿易事務の仕事をしていた頃のことです。通訳学校の勉強仲間のお姉さんから医学系の文献の和訳を依頼されたことがあります。その頃は自分の訳出スピードも何も、全く把握していなかったにもかかわらず「翻訳のバイトがある。報酬は一万円。」と言われて飛びついてしまいました。
 
当時すでに社会人でしたが、医学の知識など全くなく、今のようにオンライン辞書も発達していない中、図書館に通いつめて必死で訳しました。知らない分野なのでものすごく時間がかかり、派遣の仕事も通常通りしていたのでほとんど徹夜のような作業で、大変な思いをしたことだけは覚えています。
 
英語自体はしっかり勉強しているという自負があったので、構文の解釈や文法的な誤りはそれほどないだろうと高を括っていました。しかし、結果は「全く使いものにならない」という評価でした。ワードチョイスが全く間違っていたのです。
 
医学・薬学に限りませんが、ある単語にはこの単語、と定訳があるものについては、必ずその「定訳」を充てなければ意味をなさないのです。肝心の医学用語がほぼ全滅だったようです。結局、その人はその方面のプロの方に翻訳を依頼し直す羽目になったそうです。一応頑張ってくれたからと、約束の報酬は受け取って欲しいと言われ受け取りましたが、満足でない仕事だったのに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
 
当然のことながらその人からは、その後二度と「翻訳を頼みたい」などと言われることはありませんでした。一度頼んで「下手な人だった」と思われてしまうと、その評価を覆すことはほぼ不可能です。「苦手分野だったので」などという言い訳が通るはずもなく、その後「今度は違う分野だから」などと言ってお願いしてもらえるということはまずありません。
 
翻訳の世界ではフィードバックがもらえるケースというのは極めてまれで、ほとんどの場合は納品したらそれでおしまいです。(訳抜けなどの指摘はあります)ですから、フリーランスとなった今、一度お仕事してその後2度目、3度目のお仕事をいただけると「前回の仕事は大丈夫だったんだな」とほっとして、非常にありがたく思います。
 
翻訳会社の場合は、分野別にトライアルを設けているところが大半で、翻訳対象の分野のトライアルに通っていない翻訳者に、誤って発注するということはありません。
 
個人事業主として開業しているとどんな分野の仕事も舞い込む可能性がありますが、だからこそ「専門外の仕事を無理して引き受けない」という判断が必要だと思います。
 
万一、専門外での仕事で「あまりうまい翻訳者さんじゃなかった」と判断されてしまい、自分の能力の全体が否定されてしまっては、もったいないと思います。

2017年7月21日金曜日

10-2 土日は稼働時間に入れない

10-2 土日は稼働時間に入れない



私は最初に翻訳の仕事の納期見積もりをするとき、土日祝、お盆と年末年始は稼働時間に入れていません。家族との時間を取りたいということもありますが、いざという時のバッファーでもあります。仕事は基本的に依頼された順に行っていますが、思わぬアクシデントの発生で計画通りに仕事が進まないことがあります。

「計画通りに進まなかった時は毎回徹夜して間に合わせている」ということが常態化すると、体にも負担が大きいですし、翻訳という仕事そのものがつらくなってしまうことがあります。

土日が稼働時間から外してあれば、何かあった時には土日を返上することでほぼ何とかなります。休みなのに子どもをどこにも連れて行ってやれなくてかわいそうなことをしてしまったな、と思うことも時々ありますが、親が必死になっているところを端で見ていると、子どもなりに分かるようです。

クライアントからすれば一分一秒でも早く納品して欲しいでしょうし、サービス業としてはその要望に応えたいと思いますが、限界を超えて無理をすると品質に響く可能性もあります。

納期調整は、個人事業主にとって一番厳しいところです。間に入ってくれるエージェントの有難さはそういう時に感じられると言えるかもしれません。

2017年7月20日木曜日

第10章: 仕事が重なったら

第10章: 仕事が重なったら
 10-1 断ると二度と来ない?

複数の取引先と仕事をしていると、どうしても仕事が重なる時が出てきます。同業者の中には、「断ってしまうと次からもう仕事が来なくなるかと思うと怖くて断れない」といって、徹夜レベルの強行スケジュールで仕事を受けてしまう人がいます。私も自分の処理能力が分からず、そうなってしまうこともよくありました。

ちなみに今の私の場合でいうと、仕事が詰まっている時は、丁重にお断りします。向こうも、「今は忙しそうだな」と思うとしばらくは連絡が来ませんが、また空いた頃に連絡が来ます。まるで神様がどこかで見ていて仕事をコーディネートしてくれているかのように、タイミングよく次の仕事が来る時もあります。ですから、「仕事を一度断ると二度と来ない」というのは誤りだと思います。

「あの人は頼めばいつでも引き受けてくれる」という状態にしておくのは理想的ですが、一カ所の取引先から年間通してコンスタントに仕事が来るということはそれほどないので、複数の取引先を持っておくというのはやむを得ません。そのため、時には断る仕事があっても仕方ありません。

ただ、お互いに信頼関係が出来上がってからの話だと思うので、最初のうちはあまりバタバタと複数の取引先と契約しない方がいいかもしれません。

仕事を断る時には「○月の下旬ごろまで詰まっているのでそれ以降なら空いています」と具体的にスケジュールを言うと、予約という形で押さえてくれるクライアントもいます。

無理して仕事を引き受けるのが常態化すると、仕事そのものが嫌になってしまったり、家族からも協力を得られなくなる可能性もあります。夜なべして頑張るのはせいぜい年に数回にとどめた方が良いと思います。

バリバリやれる気力と体力に満ちているときは勢いに任せて稼ぐのも良いかもしれませんが...。

2017年7月19日水曜日

9-2 問い合わせフォーム(ウェブ サイトのガジェット)

9-2 問い合わせフォーム(ウェブ サイトのガジェット)

私のウェブサイトには「お問い合わせフォーム」が全ページに設定してあります。メールアドレスが書いてあるにもかかわらず、新規の方の引き合いは9割がたこの問い合わせフォーム経由で来ます。

「ちょっと聞いてみよう」という人にとって、メールで初めまして、から書き始めるのはちょっとハードルが高いようで、書くことと書く欄が決められているフォームがあると、問い合わせしやすいのかなと思います。

私が使用しているJimdoのホームページサービスでは、無料プランでもこの問い合わせフォームを簡単に設置する機能がついています。



その問い合わせ内容の転送先のアドレスは、それを受けるため専用のアドレスにしており、そのアドレスに届いたメッセージはすべて携帯に転送されるように設定しています。

余談ですが、メールアドレスを公開する際には「@」(アットマーク)を画像にするなどして、スパマー(スパムメールを送る人)対策をされることをお勧めします。インターネット上にメールアドレスを公開すると、どうしても迷惑メールが送られてくるリスクが高くなるからです。

しかし、スパマーが無作為にメールアドレスを収集する際には、アットマークや「mailto:」などを手掛かりにしているため、アットマークを付けるのを避ければこうしたプログラムから見つかりにくくなります。

2017年7月18日火曜日

第9章: 連絡の受け方: 9-1 メール転送機能の活用



第9章: 連絡の受け方(メール転送機能の活用等)
9-1 メール転送機能の活用
 
前にも書きましたが、翻訳の仕事の依頼は急ぎであることがほとんどであるため、連絡が来たらすぐに受けられるようにしておくと便利です。翻訳会社から電話やメールで連絡が入っても、気づかずに放置してしまうと、他の翻訳者に依頼が行ってしまうこともあります。
 
私は、PCメールではniftyを使用していますが、niftyにはメール転送機能があるので、仕事先のメールは携帯に転送する設定にしています。特定のアドレスからや、特定のドメインからのメールに限定して転送する機能もあります。お使いのメールサービスによっても異なるとは思いますが、この機能がある場合は活用されると良いと思います。
  
 

 
 
その他、海外のある会社からは急ぎの仕事の場合は「メール送りましたので見てください」というメッセージがSkypeのショートメッセージで入ります。このため、SkypeはPCだけでなくスマホアプリ版もダウンロードしてあり、ポップアップと音の両方で通知されるように設定しています。






2017年7月14日金曜日

コラム:翻訳は「コスト」か


コラム:翻訳は「コスト」か

翻訳者の立場から言うと、翻訳は時間と労力を伴う知的作業であるため、働いた分に対する報酬を得たいというのは正直なところですが、依頼する方からすると「仕事にしてるぐらいなんだから簡単にできるんでしょ」と感じるのか、あるいは「ただひとつの言語を違う言語に置き換えるだけなのに何でそんなにお金がかかるの」と思うのかは分かりませんが、「翻訳料金は高い」と感じている人が多いというのは事実です。

しかし、いくら翻訳には目に見えた原材料費がないからと言って、「高いから、安くしろ」という要求にすべて応えていたのでは、翻訳業は仕事として成り立ちません。
もちろん、親や友人や知人から、少量の翻訳を「ちょっとお願い」と言われて助けてあげるのは、好意の範囲内でやってあげて全く構わないと思いますが、無償もしくはそれに近い値段で無理してやる必要はないので、報酬はきちんと請求して良いと思うのです。

翻訳が「コスト」だと感じてしまう背景には機械翻訳の劇的な品質向上があると思います。原文を入力して「翻訳」ボタンをクリックすれば一瞬でターゲット言語に変換されます。

すでに報道などでご存じの方も多いと思いますが、特に2016年10月以降のグーグル翻訳の発展は目覚ましく、実際に原文を入れてみるとそのすごさに驚きます。構文が複雑でない一般的な内容ならば、ものの数秒で「だいたい何を言っているのか分かる」翻訳を出してきます。

「タダでここまでやられちゃかなわないよなあ」と、正直思ってしまいますが、やはり、関係代名詞に次ぐ関係代名詞で一文が長々と続くような複雑な構文の文章や、言葉のセンスが要求されるような文学作品では、まだまだ笑ってしまうような翻訳結果もあります。

翻訳にお金を出す価値があるのは、「自分にはできない」「機械にはできない」場面においてです。英語が全くできない人は、機械翻訳の結果が「良いか悪いか」も判断できないので、そのまま鵜呑みにすることは怖くてできないでしょう。また、複雑な構文の内容をただブツ切りに切って前から訳した機械翻訳では、「大意をつかめれば良い」と思って読んだとしても理解できないでしょう。

「翻訳の良し悪しを見極める語学力」
「原文の論旨をしっかり追って、内容を把握する理解力」
「読みやすい訳文を練り上げる構成力」

機械翻訳が発達して「翻訳コストをいかに切り下げるか」という流れが加速するなか、「高コストの」我々人間の翻訳者に今後も活躍できる余地が残されているとしたらこれらの部分だと思います。
「やっぱりプロに頼んで良かった」と言われる翻訳者でありたいなあ、と思います。

 

2017年7月13日木曜日

8-4 海外の翻訳会社のトライアルを受ける

8-4 海外の翻訳会社のトライアルを受ける

個人で直接仕事を受ける際の雑事、というテーマから外れてきてしまって申し訳ないですが、海外からの引き合いも多くなってきた現状があるので、少しお話ししておきたいと思います。海外の翻訳会社には


Ulatus(Crimson Interactive) (アメリカ本社)
Valuepoint Knowledgeworks(インド)
GTE Localize(ベトナム)

 


など多数ありますが、最近はアジアにある翻訳会社で日本語の需要が増えているようで、「うちのトライアルを受けないか」というメールが入るようになってきました。

そういったメールも先日お話ししたディレクトリ経由で入ってきていますので、色々なところに自分の連絡先を掲示しておくのは仕事の機会を増やすのには好都合です。


海外の翻訳会社からの仕事で面白いのは、翻訳だけでなく、英→日のプルーフリーディングの仕事がかなりあることです。「日本語ネイティブである」ということが非常に生かされる場面であり、これがかなり楽しいです。日頃「英語って難しいなあ」と思ってばかりの私ですが、「日本語って難しいよね」と改めて思います。そんな難解な日本語を習得している私たちは、かなり貴重な存在なんです!(笑)

翻訳会社のトライアルを受けている方は、日本国内だけでなく、海外の翻訳会社のものも受けてみてはいかがでしょうか。

2017年7月12日水曜日

8-3 出版翻訳オーディション

 8-3 出版翻訳オーディション

 私には一冊だけですが出版されている訳書があります。これは「トランネット」という翻訳会社が主催した出版翻訳オーディションに受かって獲得した仕事です。オーディションを実施している会社は

日本一の実績を誇る出版翻訳専門サイト「トランネット」


という会社です。

トランネット会員になるには
入会金 5,400円(税込み)
年会費  10,800円(税込み)

の費用が必要です。

その他、オーディション毎に応募料 3,240円(税込み)が必要となります。

私は2015年の3月にトランネットの会員になって、最初に応募したオーディションで合格して、4月から翻訳開始、約1カ月半で200ページ強の本を一冊翻訳しました。

オーディションでは結果と講評が発表されますが、合格の具体的な要因は先方からはっきり明かされることはありませんので、自分の体感でしかないですが、先方の好みの文体と私の訳し方が偶然合致していたのかなと思います。

成績だけで言えば私より優秀な人はもちろんたくさんいたでしょうし、もしかすると実際に翻訳を引き受けるか否かの時点で、スケジュールの都合もあったかもしれません。

1カ月半で200ページの翻訳というのは、日中もフルタイムで稼働しないと間に合いません。会社勤めの人ではできないだろうと思います。

私の場合は、当時子どもが幼稚園の年中児でした。私にとっての最初のオーディションは、「ただ受けてみたい」という気持ちだったので、まさか最初から仕事をすることになるとは思っていなかったため、本当に焦りました。ただ、その時受けたオーディションの課題は自分の好きな分野だったので(心理学)、「この本を訳したい」という気持ちは強かったです。

その後2冊目の翻訳本出版という野望はかなえられていないので、まだ私には本当の実力が備わっているとは言えないかもしれません。もっと勉強して、叶えたいと思います。

その後トランネットからは時々「リーディング」という仕事をいただいています。これは2~3週間の納期をいただいて英語の原書をまるごと一冊読んで日本語のレジュメにまとめるという仕事です。その仕事を5、6冊経験しましたが、とても勉強になりました。

英語の原書を自分だけが理解するために読むのと、レジュメを作るために読むのとでは読み方が異なります。「アウトプットを意識したインプット」というのは、とてもいい訓練になります。それを仕事としてやらせてもらえるのはとてもありがたいです。

出版翻訳の世界に関心がある方は、このような翻訳者ネットワークに登録して、リーダー(リーディングする人)登録から始められても良いかもしれません。

トランネットについてはまた後日詳しく説明します。
  
   
   
  

2017年7月11日火曜日

8-2 クラウドソーシングでの翻訳タスク入札

 8-2 クラウドソーシングでの翻訳タスク入札

 一方、Conyacではレベルチェックテストを受けていない翻訳者もいると書きましたが、中にはレベルチェックテストに合格した「スタンダード翻訳者」もいます。翻訳料金によってレベルが違いますから、利用者は予算によって使い分けるということになります。

クラウドで翻訳を依頼するのは、概して個人の方が多いようです。個人の依頼主にとっては特に、予算は重要な要素で、前述のGengoの価格設定が高いと感じる依頼主も少なくないようです。もっと安価な翻訳を求める依頼主は、「ランサーズ」や「クラウドワークス」に流れているようです。

翻訳の相場感に慣れていない人からすると、翻訳者が例えば時給換算して千円程度もらえるような価格では、分量に対して(翻訳料金が)高いと感じるようで、クラウド翻訳のサイトで依頼主が希望している価格は、翻訳者側の労力からするとちょっと泣きたくなるような価格です(時間給換算すると200~300円ぐらい)

そういう「泣きたくなるような価格」での翻訳は、忙しい翻訳者はほとんど引き受けられませんが、経験の浅い翻訳者は実績を積みたくて報酬度外視で引き受けるようです。そういうところで価格崩壊が起きるのではと危惧されますが、概して安い価格でも引き受ける翻訳者はレベルもそれなりであることが多く(まれにものすごく安い価格でハイクオリティの人もいますが、ああいう人はどうやって生計を立てているのでしょう)、それに懲りた依頼主は次からはレベルの保証された翻訳会社や翻訳者に依頼しているようですから、どんなサービスにも共通ですが、「価格=品質」の図式は今のところそれほど崩れていないようです。

ただ、クラウドソーシングのサイトは海外にもあり、例えばUpworkのようなサイトには、日本語を母国語としない日英翻訳者で優秀な人がかなりたくさんいます。そういうところに、日本語を訳しやすくリライトしてから依頼すると、かなり良い品質に上がってくるようで、今後英訳の需要に対しては、日本人翻訳者は価格面でも太刀打ちできなくなるかもしれません。ただ、難解な表現が多く含まれる日本語を英訳する場合は、一旦日本人が英訳したものを英語ネイティブスピーカーがリライトするという「王道」を経ないと、満足できる品質に達しないということも多いようです。

クラウド翻訳の世界での価格相場については、今がちょうど過渡期かもしれません。「ある程度リライトすれば読むには耐えうる」というギリギリの品質を、いくらぐらい出せば獲得できるのか、という依頼者目線に立った場合、おのずと相場が安定してくるだろうと思います。
  

2017年7月10日月曜日

第8章: クラウド翻訳と出版翻訳オーディション 8-1 Gengo

第8章: クラウド翻訳と出版翻訳オーディション
8-1 Gengo

「Gengo(ゲンゴ)」や「Conyac(コニャック)」という名前を聞いたことがあるかもしれませんが、この2つはクラウド上で翻訳の依頼と納品が完結するという「クラウド翻訳サービス」です。翻訳者として登録するより、依頼者として利用する人の間での方が、名前が浸透しているかもしれません。

Gengoは2008年に設立されたサービスで、東京に本社がある企業ですが、創業者であるCEOはMatthew Romaineという日本とアメリカのハーフの人です。


Conyacは2009年に株式会社エニドアという日本の会社によって設立された同様のサービスです。クラウドで直接依頼する方法と、別途コーディネーターが間に入って翻訳の受注と納品を請け負う方法と両方扱っています。


GengoとConyacの大きな違いは、Gengoには独自のレベルテストに合格した人しか登録できませんが、Conyacにはレベルテストを受けていない人(Light翻訳にのみ参加可能)も登録しているということです。

Gengoの翻訳は、業界の中でも激安という訳ではありませんが、ある程度以上の翻訳水準は期待できるのに対し、Conyacでは学生や翻訳学習者のような人も登録しているため、簡単な翻訳であれば非常に安価で発注できるという点です。

どちらも設立当初は画期的なサービスだと大変話題になりました。

Gengoの場合、

・まず、依頼者がウェブサイトを通じて翻訳を依頼するとクラウド上の案件ボードに掲示されます。
・任意の言語ペア(英→日、日→英、中→日、日→中など)の試験に合格している翻訳者が案件ボードにアクセスし、案件の内容と締め切り日時を確認して受注ボタンを押し、受注します。
・このように、クラウドを通じ、依頼者と翻訳者だけで翻訳の依頼と受注が成立するので、翻訳会社のようなコーディネーターが介在しません。世界中にいる翻訳者のうち、その時手が空いている人が対応するので、早い時は数時間で納品されます。

・依頼主のメリットはその単価の安さと納品の速さです。品質についても、それなりに難しい試験にパスした翻訳者が担当しているので、ある程度のレベルは保証されています。

・依頼主にとってのデメリットは、毎回同じ翻訳者に訳してもらえるとは限らない点です。一応、お気に入り翻訳者を登録できるシステムもありますが、その翻訳者が毎回案件ボードを覗いているとは限らないため、自分の案件担当してもらえるとは限りません。

・一方、翻訳者にとってのメリットは、自分の好きな時に好きな分量の案件をボードから選んで受注できることです。

・翻訳者にとってのデメリットは、価格が他より安いことですが、数年前に価格引き上げがあったので、今は一般的な水準となっています。

ただ、値上げの時期と呼応するように翻訳案件の数がグッと減ったような気がします。値上げ前は、仕事がいっぱいで翻訳者の数が足りないようで、同じ案件が何日もボードにあるような時期もありました。そうなると依頼者側には「スピード」というメリットがなくなりますので、Gengo運営側もやむなく値上げしたのだと思いますが、価格設定についてはも運営側も厳しいところだと思います。

やはり昔ながらの、コーディネーターが間に入って案件ごとに調整する翻訳会社のスタイルは、クラウド翻訳が台頭してもすたれることはないだろうと思います。

ちなみに私もGengoで英日の試験にパスしており、子どもが赤ちゃんの頃は細切れの時間にGengoの仕事を受注していましたが、最近では固定客の仕事で詰まっているので、あまりGengoの案件ボードを覗くこともなくなってしまいました。
 
しかし、これから仕事を始めたいという方や、細切れの時間を使って翻訳の仕事をしたい、という方は、Gengoのレベルチェックテストにトライしてみても良いかもしれません。

2017年7月7日金曜日

7-2 確定申告

7-2 確定申告

本当はタイムリーな2月か3月にこの話をした方がいいかもしれませんが、話の流れですのでこのまま確定申告についても少しお話しします。

私は便利なことが大好きなので、確定申告は電子申告(e-Tax)で行っています。初年度の手続きが少し面倒ですが、一度手続きしてしまえば次からは税務署に行かなくてもデータ送信で申告が終わりますからとても楽です。

細かい手続き等については国税庁のホームページに詳しい記載がありますから割愛しますが、e-Taxに必要なものを挙げておきます。

・「ICカードリーダー」
 ※こういうやつです。 
ソニー SONY 非接触ICカードリーダー/ライター PaSoRi RC-S380




・マイナンバーカード
・市役所への届け出(開始届出書の提出と電子証明書の登録)

e-Taxの手続きが面倒な人やカードリーダーをわざわざ買うのがもったいない人は、国税庁のホームページで確定申告書を作成してプリントアウトし、郵送か税務署への持参で提出できます。

確定申告をやったことのない人もいらっしゃるかもしれないので細かすぎるかもしれませんが書いておきますが、確定申告の作業を始める際に必要なものは

・源泉徴収票
・健康保険、年金、生命保険の支払証明書
・経費の領収書、売上の分かる書類

です。源泉徴収票は得意先から1月末か2月ごろに送られて来ますが、私の新規の得意先の1つに、専用システムから源泉徴収票を自分でダウンロードしなければならないところがあったのですが、「源泉徴収は先方から送られてくるもの」という思い込みがあったために、その得意先の売上を入力するのを忘れてしまい、後で「修正申告」しました。

e-Taxで確定申告すると、紙で提出するより早く「還付金」が振り込まれるのですが、修正申告した年はいつもより1カ月以上も遅く振り込まれました。自分の売上を1つの場所ですぐ分かるように管理しておかなければ、と反省しました。今年のことです(苦笑)。

確定申告の詳しいやり方は税理士さんや経理に詳しい人のブログなどに出ていますので、参考にされると良いと思いますが、参考までに私の普段のやり方をおおざっぱに書いておきます。

➀会計ソフトに経費と売上を入力する
②会計ソフトから自動で「貸借対照表」と「損益計算書」を出力する
③国税庁の確定申告用のホームページを開き、②の書類を見ながら必要部分を入力する。
④カードリーダーをPCに接続、完成データを送信

完成データを送信するときに、最初に市役所に届け出た時のパスワードを求められますので、パスワードはしっかり保管しておいてください。私は「確定申告」と名前をつけたファイルに全部まとめて入れて保管してあります。

一年に一度しかやらない作業なので、一年経つと去年のことはかなり忘れています。参考にするために作成した確定申告書はしばらく保存しておいたほうが良いかもしれません。

2017年7月6日木曜日

第7章: 帳簿管理と税務署への申告: 7-1 税務署への届け出と会計ソフト

第7章: 帳簿管理と税務署への申告

 7-1 税務署への届け出と会計ソフト

フリーランスの翻訳者として開業するに当たり、税務署に届け出が必要なのは以下の2つです。

・個人事業の開業・廃業等届出書(用紙はこちら)※事業の開始等の事実があった日から1カ月以内に税務署に提出します。(詳細はこちら

・所得税の青色申告承認申請書(青色申告を行いたい場合)(用紙はこちら)※青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに提出します。(詳細はこちら

例えば、2018年1月~12月の所得(2019年2月~3/15の期間に申告する分)を青色申告で行いたい場合は、2018年の3月15日が締切です。

簡単に言うと、来年の3月の確定申告を青色でやりたい場合は今年の3月15日が締切です。

今は7月ですが、仮に今日、翻訳業を開業した場合、今年の所得から青色申告で申告したいと思っても、届出の締切日は過ぎてしまっています。が、「もしかしてもしかしたら」何とかなるかもしれないので一度税務署で相談してみてください。

一年目は白色で様子を見る、という人もいますので、それでも良いかもしれません。

白色申告と青色申告

フリーランスの所得税の申告には簡単な白色申告(2014年から白色申告も簡易簿記による記帳が義務付けられたとの事)と、複式簿記方式による記帳が必要な青色申告があります。白色申告による控除額が10万円なのに対し、青色申告を行うと65万円の特別控除が受けられるというメリットがあります。

よく「青色申告大変じゃない?」と言われますが、帳簿をつけると言っても、翻訳者の経費は

・パソコン、プリンターなどの機器
・A4用紙、プリンターインクなどの消耗品
・インターネット、電話などの通信費
・書籍代、辞書代(新聞図書費)

くらいであるので、パン屋さんや飲食店のように、毎日の仕入れや原材料費の入力が必要な事業者と比べるとそれほど大変ではありません。

本当は私も簿記については基礎的な知識ぐらいはあった方がいいのは分かっているのですが、苦手意識もあり、簿記の知識は全くありません。しかし、前にも述べた「MFクラウド会計」という会計ソフトを使っているので、確定申告には全く問題ありません。



以前は「やよいの青色申告」というDVD-ROMのソフトを使っていましたが、クラウドソフトは、どの端末からも自分のアカウントにアクセスできるというところが圧倒的に便利です。
クラウドの会計ソフトにはその他にも

・freee
・弥生会計オンライン

などがあります。やっぱり「やよい」もクラウドソフトに乗り出してきましたね。私が開業した2011年当時はなかったと思います。

こうした会計ソフトを使うと、経費と売上を入力するだけで、確定申告(青色申告)に必要な書類はすべて自動で作成してくれます。

青色申告は実際にやってみると心配しているより簡単ですから、メリットが大きいのでおすすめです。
  
   
   
   
   
   
  
  
  
  
  

2017年7月5日水曜日

6-6 SNSの活用

6-6 SNSの活用

私はウェブサイトとこのブログを運営している他に、SNSのLINE、Facebook、Twitterを使っています。

LINEは、仕事に使っているつもりはなかったのですが、以前に一度どうしても原稿をうまく送れない翻訳の依頼主の方がいらっしゃって、最終的には原稿を写メで撮ってLINEで送ってもらったことがあります。私はその写真をスマホのスキャナーアプリで取り込み、無事にA4サイズに印刷して作業することができました。

Facebookでは学生時代の友人から元職場の同僚まで、よく知っている知人とつながっています。今回ブログを開設した時や、2015年に念願の訳書が出た時にはFacebookに投稿したところ、友人たちにだいぶ見てもらいました。そのおかげで本を買ってくれた人もいます。本当に、友人はありがたいです。感謝!

Twitterには反対に、ほとんどが知らない人ばかりとつながっていますが、反対にそれが楽しいです。翻訳者あるあるみたいなツイートを通して笑ったり、励まされたり、翻訳や英語について情報交換したり。有名な翻訳者の方もTwitterをされていたりするので勉強にもなります。ちなみに私が尊敬してやまない翻訳者の越前敏弥さんもTwitterされています。
この3つのSNSは、それぞれに良さがあって、やっていない方は是非初めてみることをお勧めしますよ!

 

 
  
  

2017年7月4日火曜日

6-5 ウェブサイトへの呼び込み

6-5 ウェブサイトへの呼び込み

さて、ウェブサイトを開設したら、それを見てもらうための「呼び込み」が必要です。
ウェブサイトのサービスにSEO(検索エンジン最適化)対策の機能があれば、キーワードを設定して検索にひっかかるようにしておくと良いです。

一案ですが、英会話に自信がある方であれば

DMM英会話なんてuKnow?

のアンカーに登録してみてはいかがでしょうか。

アンカー登録ページ

実は私もアンカーとして登録していますが、質問者からの質問(「○○って英語でなんていうの?」)に回答すると、自分のプロフィールとウェブサイトへのリンクが掲示されます。

私はこのサイトへの回答によって、名前での検索結果が上位に表示されるようになりました。(ちなみに名前のユカリがカタカナなのは本名です)

検索結果表示で上位になるにつれてウェブサイト経由での翻訳の引き合いも徐々に増えてきました。会社だけでなく、個人の方からも気軽に依頼していただけるようになりました。

このあたりは「ウェブマーケティング」の守備範囲だと思いますが、私も色々と勉強中です。

2017年7月3日月曜日

6-4 翻訳者を掲載するディレクトリに登録する

6-4 ディレクトリへの掲載

営業活動の一環として、ディレクトリへ掲載するのも一手です。プロフィールと専門分野を登録しておくと、クライアントとの接点を持つことができます。

国内外問わず、翻訳者を掲載したディレクトリは複数あります。

通訳翻訳.NET(掲載無料)

翻訳者ディレクトリ(掲載無料)

日本翻訳者協会(JAT)(有料)

日本翻訳連盟(JTF)(有料)

Proz.com (海外、無料、有料プラン有)

TranslationDirectory.com(海外、無料、有料プラン有)

比較的新しい話としては

翻訳者評価登録センター(RCCT)
の設立も話題となっています。

ちなみに私は➀②③⑤⑥に登録しています。この他にも私が知らないだけで、もっと色々あるかもしれません。

ディレクトリからは新しい仕事の話が時々入るのですが、現行のクライアントとの仕事で詰まっていますので、なかなか新しい取引先との仕事を受けることができないのが現状です。

ただ、こういうところからの情報も定期的に得ておくと、業界での翻訳単価(レート)の相場にも通じておくことができますし(レートが依頼主から提示されることも多いため)、メリットはあると思います。