誇大広告を繰り返して受講者を募る坂口雅志氏の高額翻訳講座「グローバルトランスレーションアカデミー」の問題点
-目次-
1. 浅野正憲氏の「在宅翻訳アカデミー」との類似性
2. 「在宅副業で時給5千円」「中高生レベルの英語だけで月収10万円~100万円も在宅副業で稼げちゃうよ」「中学レベルの英語力で稼げる副業」というキャッチコピー
3. ステップメールでの「申し込み締め切り日」が人によって違う
2021年1月9日、YouTube動画に坂口雅志氏の高額翻訳講座「グローバルトランスレーションアカデミー」の広告が出ました。この広告には「不実告知」に当たるのではないかと疑われる部分が多く、非常に問題が多いと感じましたので、一般消費者に対する注意喚起を目的として、この記事を投稿します。
1. 浅野正憲氏の「在宅翻訳アカデミー」との類似性
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、この翻訳講座の集客方法が以前私が2020年2月25日の記事で書いた「在宅翻訳アカデミー」に酷似しています。
・英語力が高くなくても翻訳できると強調する
・高収入であると強調する
・在宅で好きな時間に好きな英語を使って仕事ができることを強調する
翻訳者のワード単価はそうおいそれと明かすものではありませんから、実際の相場が分かりづらいのは確かですが、「単価20円」というのは強い専門分野を持っていて翻訳歴も長い、相当実力のあるベテランになってようやく得られる単価です。
広告動画で紹介されていたようなクラウド翻訳やフリーランス仕事サイトでは、単価3円とか4円という低単価もザラで、なかには単価1円などという超激安単価案件も掲載されていて一時期翻訳者の間で物議をかもしました。
つまり、この「時給5千円」というのは翻訳業界でもトップクラスの翻訳者が得ている報酬であり、講師である坂口氏は達成しているのかもしれませんが、広告ターゲットとなるような「中学生中高生レベルの英語力」の人に達成できるものではありません。
次に「中高生レベルの英語だけで月収10万円~100万円も在宅副業で稼げちゃうよ」「中学レベルの英語力で稼げる副業」というコピーですが、問題点が2つあります。について。
「中学生レベルの英語」という定義は非常に誤解を招きます。これは広告の作成者が誤解されることを意図的に狙ったものと考えて差し支えないと思いますが、一般的に消費者がこれを見たら"I am a boy." "He plays tennis."というレベルの、極めて単純な構造の英文を思い浮かべます。この程度の英語に対する知識があればできる仕事なのだと思わせます。
一方で、文部科学省による「中学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説」に従い、中学校3年間の学校の授業を完璧に理解して高校入試の英語科目で満点を取るような実力であれば、基本的な英語構造はかなり理解できることになります。
それをベースにして大人の会社員の技術者並みに理科系の知識があれば、それらの知識と「高校入試でバリバリ満点を取れる中学生の英語力」を総動員して「特許翻訳は可能である」とでもいいたいのでしょうか。
しかし、「中高生レベルの英語だけで稼げちゃうよ」「中学レベルの英語力で稼げる副業」というトーンからはとてもではないですがそのレベルの英語力を定義しているとは考えられません。広告による錯誤を意図的に狙った「不実告知」に該当すると思われます。
また、後半の「月収10万円~100万円も在宅副業で稼げちゃうよ」の部分ですが、こちらも現実的ではありません。
仮にワード単価10円で1時間250円処理すると仮定すると、月収10万円稼ぐには40時間の稼働、100万円稼ぐには400時間の稼働が必要となります。
1日2時間ずつ20日稼働すれば月収10万円は実現可能かもしれません。しかし副業で1日2時間しか作業できない人に都合よくコンスタントに仕事が毎日来るとも思えませんし、クラウドワークスやランサーズのようなサイトで細切れ時間に低単価で仕事しても10万円稼ぐのに40時間では済まないでしょう。
月収100万円が単価10円レベルでは到底実現不可能な絵空事であることは言わずもがなでしょう。
3. ステップメールでの「申し込み締め切り日」が人によって違う
LINEでの申し込み時のステップメールについて、「申し込み締め切り日が人によって違う」というツイートを見ました。これは、「急がないと締め切ってしまう」と焦らせることによって申し込み行動に誘導するための典型的な釣り商法です。
「あと何名」というメッセージに、申し込んだ人によってばらつきがあり、申し込んでから何日目に「あとA名」、その後何日目に「あとB名」...というように続くように設計されたプログラムになっているようです。実際の申し込み人数や残りの定員数などは、明確には明かされていません。これが人によって違うというのも、おかしな話です。
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このような誇大広告を繰り返す翻訳講座が、現在この講座を含めて5件観察されています。
「翻訳には高い語学力は必要ない」という誤った認識を広めて受講生を獲得しようとする翻訳講座に対し、警戒を呼び掛けるメッセージをしつこいくらいに私が発信しているのは、「現在英語力が低い人は翻訳者になるのは永久に無理だから諦めてください」と言いたいからではありません。
「やりがいのある素晴らしい仕事ではあるがプロとして報酬を得て生計を立てるまでには、それなりの期間にわたって根気よく学習を続けることと、豊富な実務経験が必要です」という真実を伝えたいからです。この真実を知らずに甘い言葉に誘われて大枚をはたいた後に、その甘い言葉が虚偽であることに気付いた場合に、金銭的にも精神的にもダメージが大きいからです。
仕事も家事もかなぐり捨てて勉強だけに集中して短期集中で行くのか、毎日コツコツじっくり行くのは人それぞれですが、少なくとも講座でコツを教えますからそれさえ覚えれば誰でも簡単にラクラク稼げます♪などという甘い世界ではないので注意してください。
甘い世界なのか厳しい世界なのか、やってみなければ分からない、とにかくこの講座を受けてみたい、という気持ちは分からなくはないです。でも、下記の「特定商取引法に基づく表記」を見てください。
「本商品に示された表現や再現性には個人差があり、必ずしも利益や効果を保証したものではございません。」とはっきり書いてあります。
つまり、「稼げるかどうかには個人差がありますよ」とはっきりうたってあるのです。ですから1度受講料を支払ってしまうと、自己都合ではなかなか返金してもらえません。
30万円とか、50万円という大金を、教材の中身も確かめずに「翻訳で稼げるかもしれない」という期待のためにギャンブル同様に賭けることができますか?「稼げるか稼げないか分からないけど、稼げるかもしれないから申し込んでみたい。30万円/50万円が無駄になってもそのときはそのときで仕方ない」と思えますか?
痩せるかもしれないけど痩せないかもしれないサプリメントとは金額が違います。
30万円です。50万円です。クレジット分割で払ったって、申し込んでしまえば支払いを拒否できません。
本当に本当に、よく考えてください。
あなたは本当に翻訳という仕事がしたいのですか。
それとも、
「陽光降り注ぐ異国の浜辺でパソコン片手に仕事がしたい」だけですか?
#どうやって翻訳者になったか
#実績ゼロから翻訳者に
翻訳者になるための決まった道はありません。
王道はありません。
コツも秘密もありません。
短期間で簡単に翻訳者になるためのコツを教えるから高額の受講料を払え、という講座はすべて怪しいです。よく疑ってかかってください。お金を払う前に、調べてください。
この講座については、私だけでなく、他の翻訳者さんもブログで注意喚起されていますので、合わせて是非お読みください。
ローズ三浦の革命的翻訳ブログ:グローバルトランスレーションアカデミーのYouTube広告が出ました (2021/1/10)
Faith Translation: 坂口雅志の「グローバルトランスレーションアカデミー」を元受講生が絶対に勧めない理由(2)そもそも「特許」は簡単か? (2021/1/10)
グローバルトランスレーションアカデミーの被害に遭われた方は、私のウェブサイト(https://officeykr.jimdofree.com/)に記載のLINEまたはTwitter(@yukaringlish)のDMからご連絡ください。相談に乗ります。
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