2017年6月9日金曜日

第1章:納期に余裕のある仕事はほとんどない


1章:納期に余裕のある仕事はほとんどない

私のように子どもがいる主婦にとって、自宅での仕事というのはメリットが大きいです。決まった時間と場所に拘束されることなく仕事が出来ます。家事やPTAの活動ともある程度両立が可能ですし、子どもが急に熱を出しても家で看病しながら仕事することも出来ます(大変ですけどね)。しかし、実務翻訳、出版翻訳に限らず翻訳の仕事が発生する場面は「急ぎ」であることが多く、「納期に余裕のある仕事」というのはほとんどありません。私は子どもが生後7ヶ月の時にある翻訳会社のトライアルに合格したのですが、直後に提出を求められたアンケートで、1日何時間翻訳の時間が取れますかという質問に対し34時間と答えたせいか(0歳児のいる生活ではそれが精一杯でした)、結局その翻訳会社からは1度も依頼は来ませんでした。プロの翻訳者としては178時間は取れる人でないと仕事は回せないようです。

 翻訳会社のトライアルには受かったもののそこからは仕事は来ず、インターネット検索でクラウド翻訳のサイトを見つけ(後述)、そこで得られる比較的細切れの案件を少しずつ受注していました。しかし、クラウド翻訳の報酬は数百円から多くて数千円です。時々分量の多い仕事もアップされていましたが納期が短いので対応できませんでした。そんな中、知り合いから「翻訳を頼みたい」という会社を紹介されました。この会社からの仕事は、ありがたいことにこちらが当時0歳児の子育て中の主婦であることも考慮してもらえて、普通より長めの納期を頂けて最初の仕事をスタートしました。その会社とは現在も定期的にお仕事を頂いています。

その後、子どもが幼稚園に上がってからは平日昼間に45時間と夜に23時間で、合わせて7時間前後を仕事に充てることができるようになり、主婦ながらようやくフリーランサーとして通常のボリュームの仕事を受けられるようになりました。しかし翻訳というのは先にも申し上げた通り基本的に「発生ベース」の仕事なので、仕事の有無は年間通してかなりばらつきがあります。全然ない時もあれば、複数の依頼元から仕事が重なる時もあります。時期としては春と秋が多いですが、そうとも限らず、年末年始やお盆に夜なべしたこともあります。ですから、「自分のペースで仕事をしたい」という人にはあまりお勧めできません。常に「人のタイミングに振り回される」仕事だからです。しかし、翻訳を依頼する側は当然、必要に迫られて発注するわけですから、受ける側としてはやりがいがあり、「役に立てた」ということが実感できる仕事です。

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