翻訳者に限らず、フリーランスにとっての重要な課題は、仕事の質を落とさずスピードを上げることです。
以前にも一括置換を使うなどの物理的な手段についてはお話ししましたが、それとは別に、翻訳処理自体をもっと早くするにはどうするか、ということについてここ最近で実感したことがあるのでそれをお話しします。
ここのところずっと短い納期で大量の仕事をするという状況が続いていましたので、まずは、そういう切羽詰まった状況に自らを置くということがあります。ただ、それだと睡眠時間を削ったり家族との時間を犠牲にしたりして、ただひたすら机の前にかじりついてやるだけということになります。
依頼主に取っては実際のスピードが上がっていようが、睡眠時間を削って間に合わせたのであろうが、とにかく希望納期に間に合わせてくれれば「仕事が早い人」ということになるので、仕事のスピードが上がっていない中で「仕事が早い人」だと思われているととんでもない日々が続きます。
ですから、本当の意味で「1時間で終える処理量を増やす」ということを目標にしていきたいところです。
私の好きな作家のはあちゅうさんは、noteという投稿サイトで有料マガジンを展開されていますが、その記事の冒頭にはいつも「私はだーっと書いて後でつじつまを合わせるタイプなので多少のアラはお見逃しいただければと」と書いています。
翻訳もそれと同じく、「ダーッと訳してから後で見直すとどうなるのかな」と思って、試しに「一文一文でいちいち自分の訳を振り返らない」を自分への課題としたところ、後で全部見直した時にも、結局普段通りの出来栄えだったことが判明しました。
自分ではそれほど終わった箇所の訳文を振り返りながら進んでいるつもりはなくても、視界に入ると、ついつい何度も振り返りながら気になるところは直したりしながら進んでしまいます。
そうすると最後まで訳し終わるまでに膨大な時間がかかることになります。結局最後まで訳し終えたら最初から読み直して推敲するので、訳す時は一気に訳し上げてしまう方がスピードが上がります。
推敲はしなくても良いとか、一度だけで良いと言いたいわけではありません。「途中で何度も振り返らない」ということです。
今度自分の訳出スピードを計測したいときがあったら一度お試しください。それだけでかなり速く(しかも品質はそれほど落とさずに)仕事を終えられることに気がつくと思います。
2017年9月21日木曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
-
詐欺だと警告されている講座を受講してしまう人が後を絶たない (※注: 2020年7月に講座の名称が変更されましたので当記事もタイトルを変更しました) 浅野正憲氏の翻訳講座「在宅翻訳アカデミー」「在宅翻訳起業」「翻訳の学校」が2019年の秋ごろから業界内で物議をかもして...
-
コロナ禍で注目される「在宅ワーク」と怪しい副業情報商材 新型コロナウイルスの影響で、仕事や将来に対する不安を抱える人が増え、さらに感染防止の意味でも 「在宅ワーク」に関心を持つ人が増えています 。
-
字幕翻訳スクールがAI字幕翻訳ツールを開発したというニュース 数日前に字幕翻訳スクールがAI字幕翻訳ツールを開発したというニュースが流れ、翻訳者たちの間に衝撃が広がりました。これを受けて翻訳者の堂本秋次さんがYouTubeで 緊急動画 を配信され、それを見たローズ三浦さんの発案...
-
また出てきました。 AIに翻訳を任せれば「英語力不問」で翻訳家になれるという講座です。 実はこの講座は、 2019 年から 2020年 にかけて問題になった講座と同じ販促業者が後ろで糸を引いている講座です。以前問題になった講座については 2020年2月25日火曜日のこち...
-
2018年6月に開講されて大いに物議を醸した「在宅翻訳アカデミー」(浅野正憲氏主宰)を運営していた「株式会社REGOLITH」がまた新たな講座を開きました。
-
2018年頃、今より低単価でちょっとめちゃくちゃな量の仕事をしていた時期があります。3日で8500ワード とか、2日で5300ワード とか。一度無理を聞いたらそれが当たり前になってしまって毎日毎日、朝早くから夜遅くまで仕事していました。
-
業界で今ザワついているあの件について私からも一言。 ちょっと話は横道に逸れるところから入りますが....。 数年前、海外からの依頼でしばらくの間チェッカーの仕事も時々受注することもあったのですが、「え、これって本当に日本人が訳したの?」と思えるほどひどい訳文が送られてく...
-
はじめまして。 フリーランス翻訳者の浅野ユカリと申します。 結婚して子どもが生まれる前は企業内で通訳と翻訳の仕事をしていました。子どもが生まれてからは不定期に実務翻訳の仕事を頂いて、基本的に在宅で仕事をしています。 フリーランスの翻訳者と...
0 件のコメント:
コメントを投稿