2017年9月5日火曜日

意味のまとまりごとに切って訳して後から編集する

社内翻訳時代は英訳が多かったので、フリーランスになってすぐは和訳のスピードがあまり上がらなかったのですが、このところ和訳の依頼が多いせいか、和訳のスピードが少し上がって来ました。

関係代名詞でどんどん後ろへ修飾節がつながっていくような、一文が長い英語の場合、学校の英文解釈のように後ろから訳していると、訳文がわかりづらくなるだけでなく、訳出時間も長くかかります。

同時通訳は話の聞こえた順に情報を処理して行きますが、それと同じように長い文章を翻訳する時も、出てきた情報の順に日本語に置き換えて行く方が上手く行きます。

文字を追っている時も、私たちの脳はたいてい、目で一度に見える範囲しか処理できないので、一文を長々と読んで全部理解してから文の冒頭から訳し始めていると途中の部分を何と理解したのか自分でも忘れてしまうことがあります。

自分で訳出が遅いと思っている人は、頭の中で何度も同じところを行ったり来たりして訳しているのかもしれません。

例えば、英文契約書では一文が12行とか13行ということもあります。

AはBである、ただしそれはCがDのときに限る…………

というように、ある文を成立させるために後ろへ後ろへどんどん条件が続いていきます。英語では最初に結論を言ってしまっているので、後ろにいくら続けても英語ネイティブの読み手には負荷はかかりません。出てきた順に論理を追えば、順に理解できるのが英語ネイティブの人の脳です。

しかし、日本語の場合は最後に術部で締めなければならないので、修飾部はほとんど、文の間に入れ込まなければならなくなり、ここでたいていの人は頭が止まってしまいます。

CがDで、EがFで、◯が△で、…………の時、AはBである、ただし◼️◼️の場合はこの限りでない。


というような具合です。

これを一文全部、理解するまで手を止めていたら時間がかかりすぎます。

最終的に読みやすい日本語になっていて原文に沿っていれば良いので、意味のまとまりごとに切って訳したものを後から綺麗に編集する、というやり方です。日本人なので日本語の方が処理しやすいのです。

頭の中に綺麗なイメージが出来上がってからアウトプットに落とし込むより、アウトプットしながら手元で綺麗な日本語に直して行くという感じです。

これを手書きでやるとなるとゾッとしますが、切り貼りも編集も簡単なPC上の作業ならではのやり方かもしれません。

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