私は35歳で社内翻訳者になり、40歳で在宅翻訳者になりましたが、人生のもっと早い段階で翻訳者になりたいと決めた人は、どういう道があるのかと考えてみました。
私が大学を卒業した22歳の時点では、通訳や翻訳の実力が備わっているとは到底思えなかったので、「働きながら学ぶ」道を選びました。
25歳で社会人だったときの夏の有給取得中に参加した「インタースクール」(プロ通訳者の養成学校)の「サマープログラム」(夏季の短期集中講座)で「これだ!」と思い、
子どもの頃から思い描いていた「通訳者になりたい」→「留学したい」→「まずはお金を貯めねば」
という図式がひっくり返りました。
なかなか目標額に達しない留学のための少額の貯金をスクールの授業料に突っ込んで、仕事は正社員から派遣社員に変え、平日夜の勉強時間を確保しました。
通訳と翻訳の勉強の仕方は違うと言えば違いますが、現在の私が翻訳を仕事として受けることができるようになったのは、この時の通訳学校での勉強がベースになっています。
通訳と翻訳に必要な力は、よく言われることですが語学力だけではありません。
1.原文を理解する読解力
2.理解した内容を別の言語に置き換える表現力
という二つ能力が必要なため、「英語だけできても通訳者・翻訳者にはなれない」のはよく知られたことです。
二つの言語を行き来して「理解→表現」というプロセスを「早く、正しく、分かりやすく」行うためには、「訳す練習をひたすら続ける」以外に他の道はありません。
よく、「英語の上達のためには日本語に置き換えるな、英語のまま理解しろ」と言われますが、それは「英語力」のみを向上させたい人に限った話です。
確かに、先に英語力を高めたいからまずは英語漬けの勉強をする、という時期があっても良いかもしれません。
しかし、「英語と日本語の間を行ったり来たりする」のを職業とする翻訳者になりたいのであれば、「日本語を介在させない英語勉強法」は近道だとは思えないのです。
翻訳者になりたいと思っているひとが今、学生なのであれば、
・卒業後にそのまま翻訳者になる
ことを目指して良いと思います。
そのためにできることは
・翻訳の練習量をひたすらこなす
ことだと思います。
今、社会人なのであれば
・翻訳の通信(通学)講座で勉強する
・翻訳会社に転職する
・派遣登録してインハウス(企業内)翻訳者を目指す
などの道があると思います。
働いて生計を立てながら勉強すると言う人は、できれば働く場所も、自分が将来翻訳をやりたい分野の仕事に就いていると、後で役に立つことは多いと思います。
・自動車関係
・航空機関係
・医療関係
・法律関係
など、自分が将来翻訳者として仕事をしたい分野で働きながら、翻訳者になるための勉強を進めていく、という道はどうでしょうか。
2017年9月27日水曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
-
詐欺だと警告されている講座を受講してしまう人が後を絶たない (※注: 2020年7月に講座の名称が変更されましたので当記事もタイトルを変更しました) 浅野正憲氏の翻訳講座「在宅翻訳アカデミー」「在宅翻訳起業」「翻訳の学校」が2019年の秋ごろから業界内で物議をかもして...
-
コロナ禍で注目される「在宅ワーク」と怪しい副業情報商材 新型コロナウイルスの影響で、仕事や将来に対する不安を抱える人が増え、さらに感染防止の意味でも 「在宅ワーク」に関心を持つ人が増えています 。
-
字幕翻訳スクールがAI字幕翻訳ツールを開発したというニュース 数日前に字幕翻訳スクールがAI字幕翻訳ツールを開発したというニュースが流れ、翻訳者たちの間に衝撃が広がりました。これを受けて翻訳者の堂本秋次さんがYouTubeで 緊急動画 を配信され、それを見たローズ三浦さんの発案...
-
また出てきました。 AIに翻訳を任せれば「英語力不問」で翻訳家になれるという講座です。 実はこの講座は、 2019 年から 2020年 にかけて問題になった講座と同じ販促業者が後ろで糸を引いている講座です。以前問題になった講座については 2020年2月25日火曜日のこち...
-
2018年6月に開講されて大いに物議を醸した「在宅翻訳アカデミー」(浅野正憲氏主宰)を運営していた「株式会社REGOLITH」がまた新たな講座を開きました。
-
2018年頃、今より低単価でちょっとめちゃくちゃな量の仕事をしていた時期があります。3日で8500ワード とか、2日で5300ワード とか。一度無理を聞いたらそれが当たり前になってしまって毎日毎日、朝早くから夜遅くまで仕事していました。
-
業界で今ザワついているあの件について私からも一言。 ちょっと話は横道に逸れるところから入りますが....。 数年前、海外からの依頼でしばらくの間チェッカーの仕事も時々受注することもあったのですが、「え、これって本当に日本人が訳したの?」と思えるほどひどい訳文が送られてく...
-
はじめまして。 フリーランス翻訳者の浅野ユカリと申します。 結婚して子どもが生まれる前は企業内で通訳と翻訳の仕事をしていました。子どもが生まれてからは不定期に実務翻訳の仕事を頂いて、基本的に在宅で仕事をしています。 フリーランスの翻訳者と...
0 件のコメント:
コメントを投稿