第16章: 案件別の予想翻訳時間数
16-1 「翻訳枚数」の落とし穴
翻訳者と翻訳業者の間では「1枚」と言えば「日本語400字」や「英語200ワード」がすぐに頭に浮かびますが、依頼主からすると「物理的な紙1枚」であることがほとんどです。
出版翻訳であれば1ページと言えば印刷された原書の紙の1ページ分ですし、産業翻訳の資料であればパワーポイント1ページかもしれませんし、あるいはワードに書かれた取扱説明書A4用紙1枚分かもしれません。
単純に「1ページ」と言っても、英文がA4用紙1枚に600ワードがびっしり詰まっているかもしれませんし、パワーポイント1ページに図がたくさん載っていて文字はわずか、という場合もあります。
我々翻訳者は文字数やワード数を基準に見積もりと請求をするので、「取扱説明書が80枚あるんですが何日ぐらいでできますか」と言われても、現物を見ないことには返事できないというのはそういう訳です。文字数をカウントすることで、翻訳にかかる時間を推測することができるのです。
社内翻訳者は勤務時間が決まっているので、時間給で請求することができますが、在宅翻訳者に対しても時間請求で良いですよと言ってくれるクライアントはいない(と思います)ので、翻訳した「成果物の量」に対して報酬をいただきます。
文字数やワード数に対して請求を発生させると言っても、例えば日本語原文400字の英訳でも、常連のクライアントさんからの慣れている案件であれば45分くらいでできることもある一方、見慣れない言葉ばかりで1から辞書を引き引き、ネットで調べに調べてしか進まない案件だと、2時間かかることもあります。
前にも同じようなことを述べましたが、自分の中で「これぐらいの内容だと400字(200ワード)をどのくらいの時間で訳せるか」という感覚を経験的に持っておくと、急な問い合わせにも慌てず答えることができると思います。
「翻訳枚数の落とし穴」と冒頭で書きましたが、「A社の1枚は3枚」「B社の1枚は0.5枚」と、自分の中で「翻訳枚数係数」が分かっているとスムーズです。
2017年8月14日月曜日
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