19-1 地元で需要のある仕事
実務翻訳者には多く分けて2つのタイプの人がいて、
・英語が好きで山を英語の側から登ってきた人 と
・専門分野が先にあって、後から英語を勉強したという、専門分野の側から登ってきた人
の2タイプです。
私は語学系の大学出身ですので、「英語の側から山を登ってきた」タイプの翻訳者です。仕事へは需要があるところへ呼ばれ、そこで四苦八苦して調べながら徐々に内容を理解していくしかありません。
私の出身の愛知県では、前にも書きましたが
・自動車関係
・航空機関係
・食品関係
といったメーカーが多い地域です。大きなメーカーは商品を海外に輸出していたり、海外で現地生産している場合も多くあります。
そうした背景で
・輸出入に関して発生する書類関係
・現地法人とのやりとりで発生する資料
など、かなりの量の英訳、和訳が発生します。
自分の地元で需要の仕事を必死でこなしていると、それが後になって自分の「専門分野」と言えるものになっている可能性もあります。
一度でも苦労して調べた経験のある分野は、必ず次の仕事に生きます。
私はちなみに、翻訳者の仕事を得る前は貿易事務の仕事をしていましたが、その時に覚えた輸出や輸入に関連する用語などが、何年も後になってから翻訳の時に役立った、ということがたくさんありました。
ですから私は、「仕事ではまずは呼ばれるところに行って全力でやっていると、経験と知識が自分の中にだんだん貯まっていく」
と考えています。
ある程度色んな分野の仕事を引き受けるようになると、「こういう分野の仕事が楽しい」「興味が持てる」というエリアが分かってくるので、それらの「得意分野」が大きい割合を占めるように、だんだんシフトして行けば良いと思います。
私は自動車関係の翻訳と契約書の翻訳が好きなので、Twitterのプロフィール欄にも「メインは自動車生産技術と契約書」と書いています。そうすることで、だんだん自動車関係の仕事が集まってくるようになります。知識が増えると訳しやすくなるので、またさらに好きになるという好循環です。
翻訳の仕事というと
「映画の字幕」
「本の翻訳」
などがすぐにイメージされますし、そういった芸術作品の翻訳にも関わりたい気持ちは私にもありますが、そういう気持ちも心の中に持ちつつ、主に企業や団体から持ち込まれる「ビジネスの中で発生する翻訳」で実践で翻訳力を磨いていくのが結局は近道であるように思っています。
2017年8月23日水曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
-
詐欺だと警告されている講座を受講してしまう人が後を絶たない (※注: 2020年7月に講座の名称が変更されましたので当記事もタイトルを変更しました) 浅野正憲氏の翻訳講座「在宅翻訳アカデミー」「在宅翻訳起業」「翻訳の学校」が2019年の秋ごろから業界内で物議をかもして...
-
コロナ禍で注目される「在宅ワーク」と怪しい副業情報商材 新型コロナウイルスの影響で、仕事や将来に対する不安を抱える人が増え、さらに感染防止の意味でも 「在宅ワーク」に関心を持つ人が増えています 。
-
字幕翻訳スクールがAI字幕翻訳ツールを開発したというニュース 数日前に字幕翻訳スクールがAI字幕翻訳ツールを開発したというニュースが流れ、翻訳者たちの間に衝撃が広がりました。これを受けて翻訳者の堂本秋次さんがYouTubeで 緊急動画 を配信され、それを見たローズ三浦さんの発案...
-
また出てきました。 AIに翻訳を任せれば「英語力不問」で翻訳家になれるという講座です。 実はこの講座は、 2019 年から 2020年 にかけて問題になった講座と同じ販促業者が後ろで糸を引いている講座です。以前問題になった講座については 2020年2月25日火曜日のこち...
-
2018年6月に開講されて大いに物議を醸した「在宅翻訳アカデミー」(浅野正憲氏主宰)を運営していた「株式会社REGOLITH」がまた新たな講座を開きました。
-
2018年頃、今より低単価でちょっとめちゃくちゃな量の仕事をしていた時期があります。3日で8500ワード とか、2日で5300ワード とか。一度無理を聞いたらそれが当たり前になってしまって毎日毎日、朝早くから夜遅くまで仕事していました。
-
業界で今ザワついているあの件について私からも一言。 ちょっと話は横道に逸れるところから入りますが....。 数年前、海外からの依頼でしばらくの間チェッカーの仕事も時々受注することもあったのですが、「え、これって本当に日本人が訳したの?」と思えるほどひどい訳文が送られてく...
-
はじめまして。 フリーランス翻訳者の浅野ユカリと申します。 結婚して子どもが生まれる前は企業内で通訳と翻訳の仕事をしていました。子どもが生まれてからは不定期に実務翻訳の仕事を頂いて、基本的に在宅で仕事をしています。 フリーランスの翻訳者と...
0 件のコメント:
コメントを投稿